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いがみ合い


エマがリリエルに気に入られ、行動も一緒にするようになった。

ダイヤもちょっとは焼きもちがあったが

エマとはうまく付き合っていきたいと思っていた。


リリエルが選んだ相手だったから…


ある時、ダンケルに公務の書類を頼まれ

魔法陣を使い、イザマーレの屋敷に行った。


「ダイヤ様~!いらっしゃい!閣下もお待ちですよ♪」

「キャー!リリエル様~!」

いつもの通りハグをして騒ぐ2魔。


それをじっと見つめるエマが傍にいた


「こんにちは♪エマさん。

今日はリリエル様といらっしゃったのね!」


ダイヤがニコニコ話すが目を合わせない


「…えぇ…リリエル様と、朝から一緒に居ますけど?」

エマはシラッとして言い放った


「…あ…そうなんですね?」

会話に困っているダイヤに


「ダイヤ!来たのなら早くしろ!」

イザマーレが2階の手すりから覗いて言った。


「あ、は~い!今行きますね!リリエル様また後程♪」


ダイヤは書類片手にイザマーレの傍に瞬間移動して、

執務室に入って行った。


エマはダイヤの様子をじっと睨む様に見ていた。




 

ダイヤはイザマーレのサインを貰いながら、

今後の公務の予定などの打ち合わせをしていた。


全ての打ち合わせを終える頃、

リリエルとエマが執務室に入り、お茶とお菓子を運んできてくれた。


「閣下、お疲れ様でした♪ダイヤ様もどうぞ~」


「リリエル様~!有難う!頂きます!」

ダイヤは書類を片付けてお茶を飲んだ


「裕子はどうしてる?人間界へ帰ってるのか?」

念のため確認するイザマーレ


「今、帰って頼まれた仕事してるみたいですよ!

ゆうちゃん仕事早いから(笑)」

ダイヤはニコニコして話す


「ほほぅ…お前も陛下の仕事を頼まれてるんだから、

裕子に負けないように働かないとな!」

ニヤニヤしながらダイヤをいじるイザマーレ


「頑張って働いてますがな~!」

ケタケタ笑いながらダイヤも言い返す。


2魔のやり取りを微笑みながら聞いているリリエルと、無表情のエマ…


「あ、そうだ!閣下、ちょっと来て貰って良いですか?

ダイヤ様、エマ、少し席外しますね!」


「は~い!行ってらっしゃい!」

ダイヤはニコニコしてリリエルとイザマーレを送り出した。


その時…


「また戻って来たら、いじってやるから待ってろ!」

とニヤニヤしながらダイヤの頭をポンポン撫でて

リリエルの後に続いて部屋を出ていくイザマーレ。


「もういじってくれないでいいからぁぁ!」

聞こえるようにダイヤは笑いながら言った



 

イザマーレ達が出ていき、一瞬にして静けさが部屋に広がる


「……」


何かエマとも話さなければと思うダイヤ

だが口を開いたのはエマの方だった


「貴女…閣下に失礼だとは思わないの?」


いきなりイラついた言葉で言ってくるエマに、

ダイヤは驚き見つめた


「え?失礼?って?」

ダイヤは思い当たる節がなく聞き返した


「タメ口を閣下に普通する?何なの?」


「????」

理解が出来ずエマを見るダイヤ


「それに!閣下に頭を撫でられるって、あり得ないから(怒)」


さすがにダイヤもイラついた


「いや、あり得ないとかじゃないし。

たまには撫でられる事だってあるから。焼きもち?勘弁して。

それだけで貴女にキレられても…」


ダイヤはイライラを抑えて言った



 

「純血の悪魔じゃないくせに…

陛下に見初められたからって、調子に乗ってるんじゃないの?

人間からの成り上がりのくせして!

一般の悪魔は、閣下に馴れ馴れしく話なんか出来ないのに!

ましてや、出戻りの貴女なんか、

陛下もよく再び后にしようって思ったわね?

あぁ、利用するために后にしたんじゃないのかしら?」


嫌みたっぷりに言ってくるエマに愕然とした


一番言われたくない、『出戻り后』と言われ、

ダイヤは言葉を失っていた


更にエマは畳みかける


「普通、お妃なら軍服着て村なんか巡回しないでしょ?

リリエル様はいつも閣下のお傍にいるし。

それに、リリエル様に抱きついて…抱きついていいのは閣下だけよ!

成り上がりの貴女が馴れ馴れしくする立場じゃないわ!」


エマは上から目線で笑いながら言っていた。


ダイヤはもう何も言わず、黙って話を聞きながらお茶を飲んでいた。

心の中は『出戻り后』だけがグルグル回っていて、

言い返す事もできなかった



「エマ…純血ってなんだ?」


いつの間にか、イザマーレが2魔の座っている後ろに現れていた


「!!閣下…」


エマは振り返って驚いていたが、

ダイヤはカップを持ったまま振り向きもしなかった


「ダイヤはリリエルの結晶だぞ?まあ、だいぶ甘ったれだけどな。

大事なのは、どう生まれたのかではなく、どう生きるかだろ?

なぁ…ダイヤ」


クシャクシャに頭を撫でられ、

振り返るとイザマーレがニマッと微笑んでいる。

その横で、リリエルもニコニコして頷いている




 

「…閣下…」

ダイヤは呟いてイザマーレを見た


「陛下がダイヤを再び后に選ばれたのは、

こいつの事を心底大切にしているからだろう。

エマが口を挟む事ではない」


イザマーレがエマを戒める


「…リリエル様ぁぁ!」

あえてイザマーレではなく、リリエルに抱きつくダイヤ。


「おい!どさくさに紛れてリリエルに抱きつくな!!

リリエルは吾輩だけのものだぞ!!」


その後は…

イザマーレにこってり叱られ、

それでもリリエルに抱き付き離れないダイヤ


「早く陛下に書類を持って報告してこい!」


まんまと飛ばされ、魔宮殿に戻っていったダイヤであった…




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