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ここに、永久に


久々の晴天...

そろそろ人間界では春を迎える季節になっていた。

イザマーレから未だに呼び出しが掛かって来ない…

リリエルは寂しさを感じていた。

イザマーレの髪に座るには彼の力も必要だった。

リリエルは寂しさを紛らわすために休まず接客業をしていた。

休み時間になり移動しようと歩きかけた時


「すみません」

後ろから声が掛かり振り向いた

「いらっしゃいませ……!?」


笑顔で振り返って固まった。

リリエルは驚き、みるみる涙が溢れ出した…人目も憚らず…


「…久しぶりだな?元気だったか?」

サラサラの長髪で金髪のサングラスをかけた人間の姿で

イザマーレが笑顔で立っていた


「……!…」

言葉にならず、手で顔を押さえ頷く事しか出来なかった…


「リリエルの仕事が終わったら迎えに来るから...それまで仕事頑張れよ」

イザマーレは優しく言ってリリエルの肩に手を置いた


「ずっと待ってました…約束ですよ!」

泣き笑いの顔で言うとイザマーレは微笑んで頷いた


リリエルの仕事が終わる頃、

出入口近くでイザマーレは彼女が来るのを待っていた。

「閣下お待たせしました!」

リリエルは嬉しそうに走ってイザマーレに飛び付いた

「お疲れ」

イザマーレも抱きしめて答える



 

「リリエル、今日はお前と一緒に居たい…良いか?」

「勿論です!」

イザマーレも嬉しそうに微笑んでいる。

だけど…

瞳の奥は何か寂しそうな目をしているのをリリエルは気付いていた


イザマーレと食事をしながら、

今まで人間界で有った事なども色々と話した。

イザマーレも嬉しそうに話を聞いて頷いている。

食事も終わりそうになった頃…


「食事が終わったら屋敷に来るか?仮の姿だと何かと疲れるし…どうだ?」

「了解です。是非!」

嬉しそうに笑顔で答えるリリエル。

「じゃあそうしよう。」


イザマーレは立ち上がり、リリエルを連れて魔界の屋敷に移動した


久しぶりにリリエルは魔界の屋敷に来たが…

広い部屋の模様が前とかなり変わっている

まるでこの先、部屋を使わないような…

それに今まで無かった何本もの剣が壁に飾ってある。

仕事に使ってる机の上さえもペンと数枚の書類のみになっている。


「閣下…部屋の模様替えしました?

何だか物が少なくなってるようですが…」


「あぁ…したよ。書類やら何やらでごちゃごちゃだったからな。

使用魔に頼んで片付けたんだよ」

本来の姿に戻りながらイザマーレが応える


「…閣下…言いづらいのですが…何か有りましたか?」

「…え?何かって?」

「部屋の片付け方といい、壁に飾ってある剣といい、何だか様子が違うので…」

リリエルは心配そうにイザマーレを見つめる



 

「……」

「…すみません…余計な事聞きましたね…」

「…いや…お前には話しておかなければならないことがある」

イザマーレはリリエルを見つめて言った


「……お前は長い間、髪に座って吾輩と一緒に居たな…

お前の気持ちはよく知っている。吾輩も感謝している。

だが…もう吾輩は長く生きられない…。

だからお前に会いに行った。せめていい思い出を作って貰うために」


「……な…に…?ご冗談を…」

リリエルは愕然としてイザマーレを見つめたままだ

「…すまんな…リリエル…」

「……」


リリエルは泣いていた。

「…閣下が…居なくなるのなら私も一緒に逝きます。一緒に…」


「…それは…駄目だ、お前は人間界での生活もあるだろ?

お前にはもっと幸せでいて欲しい。

一緒には駄目だ。逝くことは許さん。吾輩の命令だ」


「…嫌です!私に閣下の居ない生活は要りません!」


「……リリエル…おいで…」

イザマーレは優しくリリエルを抱きしめた

「……悪魔のために泣くな…リリエル…」


「閣下!…心から愛してます…離れたくありません!!

…お願いです…最後までお傍にいさせてくだい…

髪に…座らせてください…」


イザマーレはリリエルの頭を撫で微笑む

「最後まで居たいのか?お前にとって辛い場面だってあるぞ?」



 

「…お傍に居たいのです…閣下…私は全て見届けます…」

リリエルはイザマーレに抱きついて、泣きながら言った。

イザマーレは最高な笑顔を見せて、泣いているリリエルの髪を

優しく撫でる


「仕方ないな…リリエル…分かったから、もう泣くな。

朝までお前を可愛がってやるから…」

「閣下……」

優しく口唇を合わせ、リリエルを抱きかかえベットに連れていった。

イザマーレは口唇を何度も重ね赤い印も至るところにつけ、

小さいリリエルの身体全てを優しく愛撫し、朝までずっと身体を重ねた

もう傍に居させてやれないリリエルの為に…










 

…………



お茶会の前日...イザマーレは全ての事を全て終わらせた。悔いが無いように…


イザマーレは人間の姿になりリリエルの仕事場に足を運んだ。

リリエルは相変わらずバリバリ仕事をこなしていた。

金髪の髪を一本に縛りサングラスかけているイザマーレに気付いて

「!…いらっしゃいませ!」

ニコニコしてリリエルは言った。


「もう一度確認する…リリエル…」


リリエルはハッとして、見つめる。


「…明日だ…本当に髪に座って居たいか?

残虐なやり方で抹消されるのをお前は見て耐えられるか?

下手したらお前も犠牲になるが…」


イザマーレは周りを気にせずに普通に話した。

リリエルの近くを通る他の客も、チラチラと振り返って見ている。


「はい…お傍に居させてください。

犠牲になってもかまいません…閣下とご一緒なら…」



リリエルは笑顔で答える。


「……」

イザマーレは目を閉じて、口元に笑みを浮かべる


「…いつまでも…リリエルは閣下のお傍に…」

「…わかった…」

イザマーレはその場で悪魔の姿に戻った。

周りがどよめいても、イザマーレとリリエルは全く気にしなかった


「…では…覚悟はいいな?リリエル…」

「はい。閣下最後までお供します」


リリエルが嬉しそうに応えたのと同時に

イザマーレは魔方陣を出し、リリエルを連れ、

その場から2名は消えていった



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