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ちょっと冷静に


ダイヤが休憩中に内線で知り合いが来てるとの連絡を受け売場に行った。

そこに居たのは金髪のサングラスを掛けた男性…イザムが待っていた

「……!」

ダイヤは驚いていた。少し歩いて2名だけになった。


「…この度は世話になったな。リリエルのことで頭がいっぱいですまなかった。

お前も、今回は多大な被害を被っていたな」

イザムは改めてダイヤを見た


「…閣下…有難うございます...」

心配して来てくれた事がダイヤにとっては嬉しかった。

躊躇いがちではあるが、心情を吐露した。


「…吾輩に、なにか出来ることはあるか?

お前を髪に座らせることは出来ないが…」

イザムの言葉に涙が溢れた。


「リリエルから何もかも聞いた。そして、

お前の元にも行けと言われたんだが…」

「その言葉だけで充分満足です…

お心遣い有難うございます…あの閣下…」

ダイヤは言いかけたが首を横に降った


「お前も我慢するのか?」

イザムの優しい言葉に目を背けてしまった


「…私は…閣下を…お慕いしています

…しかし、いつまでも傍に居たいと思っても

私には叶わぬ事も分かっています

…だから抱いて頂いた時の事は忘れようと思っても忘れられません。

陛下に気に入られ魔界に遊びに行っても閣下の事が忘れられません」


「…お前は陛下に気に入られてるのではないか?

陛下に可愛がって貰ってるのだろ?」


ダイヤは首を振った



 

「…いいえ…それは有りません。気に入られていてもそれは別です。

陛下に閣下の事どう思ってるのか聞かれました…」


「!?陛下から?」


ダイヤは俯いた


「…私は閣下の事を愛してますが…身を引かなければなりませんと答えました。

閣下はリリエル様を必要とされている。リリエル様も同じく閣下を大切にされている。

だから…身を引くのだと…私にとってもリリエル様は大切な存在ですから…」


「……」


「陛下に正直にお伝えしたら益々気にって貰いまして、御二方を守れるようにと

魔方陣のやり方や魔力の勉強しに陛下の元へ行っているわけなのです。

陛下からは閣下に自分の気持ちをしっかり伝えよと言われました。

なかなか言う機会がなかったのですが…閣下…心から愛してます」

ダイヤは目に涙を溜めながら微笑んだ


「ダイヤ…」


「御足労お掛けして申し訳ありませんでした。

そろそろ仕事に戻らないとなりません…どうか…リリエル様を大切に…

有難うございました」

ダイヤは頭を下げた。


「…ダイヤまた夜に迎えに来る。まだ話もしきれてないからな」

イザムはにこやかに言って店を後にした


夜仕事が終わりダイヤが外に出ると、イザムが待っていた

「!?閣下!本当に待っていたのですね」

ダイヤは駆け寄って言った

「昼間だけでは話は終わってないからな…」

イザムは微笑んだ。ダイヤは嬉しさで顔を赤くした



 

「腹減ったろう?何か食べに行くか?」

「はい。久々に飲みに行きませんか?」

ダイヤは笑顔で答えた。イザムは頷いて歩き出した


2名は色々話した。今までの事、リリエルに出会った事など…

ダイヤは楽しく話していた


「なぁ…ダイヤ」

グラスを置いてイザムはダイヤを見た


「はい?何でしょう?」


「…お前に会った後、リリエルと会った」


「あら!元気でした?最近会ってないので」

「元気だったぞ。吾輩が最近ずっと近くに居たからな」


ダイヤは目を細めた

「オノロケですか?もう!ご馳走さまで~す」

ケタケタ笑ってつまみを一口食べた



「…ダイヤ…吾輩の髪に乗らないか?」


時が止まったようにダイヤは固まった




 

「…え??…はい?今…何て?仰った?」


「リリエルとも話した。お前なら一緒でも良いと言ったのだが…」


「…お邪魔ではないのでしょうか?」

「邪魔ではない。むしろリリエルと一緒にいて欲しい。嫌でなければな…」


「…髪に乗るって…閣下…閣下自身が髪に乗せるにはそれなりの儀式も必要で

相手を愛でなければ乗れないはず…陛下から聞いた覚えがありますが?」

オロオロしてダイヤはイザムを見た


「…陛下からそんな事まで教わったのか?その通りだ。」

「…閣下にはリリエル様が…」


「お前を髪に乗せたい。お前も吾輩の所に来い。

陛下の所に行ってると聞いた時は驚いて気になっていた。

守ってやる。リリエルもその事は承知している」


「…閣下…髪に乗せてください。髪に乗ったら

今度はリリエル様と閣下を必ずやお守りしますから」


「忠誠心を誓うという事だな?

忠誠契約の場合、人間界には戻って来れない。覚悟は出来てるのか?」


「はい。陛下にも魔力など充分に教えて貰いましたから…

多少は役に立つと思います。

それに…魔界を知ってしまったらここの生活も飽きて来ましたし…」

ダイヤはにこやかに言った


「では…早速儀式に入ろうか…?」

「御意…閣下…仰せのままに」


イザムはダイヤを連れて魔界に戻った

そのまま忠誠契約の儀式を行い、ダイヤの首筋には紋章が付けられ

イザマーレの髪に乗る事になった。



 

ダイヤがイザマーレの髪に乗ってから直ぐにリリエルと会うことになった。

ダイヤは真っ黒な戦闘服を着てにこやかに笑顔を見せる


「ダイヤ様!嬉しい!ずっと一緒に閣下を愛せるなんて!

……あれ、ダイヤ様、首に紋章………?」

リリエルはダイヤの首筋に彫られている紋章を見て驚いていた


「……私はリリエル様とは違うよ!忠誠心で誓っただけだから…

だから戦闘服着てるのよん!」

ダイヤは照れながら言った


「…えっ…閣下、……なんで?リリエルに言ってたのと違います……」

リリエルは泣き出した

「なっ、泣くな、リリエル……仕方ないだろう!ダイヤの希望なんだ!」

「んもう!ただ、愛し合えばいいだけでしよー!!!閣下、お願い」

リリエル渾身の上目遣いに、ようやくイザマーレも

「…ダイヤ、諦めろ。愛契約に切替える」


「え~!マジですかぁぁぁ!!リリエル様まで!恥ずかしい!」


真っ赤になって恥ずかしそうにしているダイヤを見て

「閣下?私の事も忘れちゃ嫌ですよ?じゃあまた後で!」

リリエルはニコニコしながらスッとイザマーレの髪から降りて行った


ダイヤは焦って止めようとしたが、

リリエルはあっという間に髪から降りてしまった。

そんなリリエルを見送ったが、恥ずかしくてイザマーレを見れない。

固まったまま振り返る事も出来なかった


「軍服も似合うな…ダイヤ」

後ろから抱きしめられ耳元で囁かれた


「…閣下…いきなりですかぁぁ!この状況で!?えぇぇ!?」

「喰わせてもらうから覚悟しろ…」

真っ赤になったダイヤをベッドに連れていく…



 

「お?リリエル、どうした?イザマーレのやつ

専用ペットを増やしたそうだな。寂しくないか?」

「…いつか、こうなると思ってました。

ダイヤ様は本当に私が憧れるくらい、素敵な方ですから。」


イザマーレの髪から降りた後、リリエルは情報局を訪れていた。


「…それにウエスターレン様なら、

きっと私の気持ちも分かってくださるでしょう?

全ての人の想いを見過ごせない、

そんな閣下を心の底から尊いと感じるのです。

そういう閣下だからこそ、お傍にいたいと思うのです……」


「…確かにな。俺は誰よりもあいつを愛している。

それだけはお前にも負けないぞ」


ウエスターレンの力強い言葉に、リリエルも微笑み返す。


「ふふふ…でもきっと、閣下の愛の深さこそ

誰にもかなわない。そう思いませんか?」


「…そうかもしれないな。まあ、俺とお前はいわば運命共同体だな。

そうだ、屋敷の中にお前の部屋も作ってやろう。

リリエル、イザマーレを待ってる間はそこにいればいい。」


「嬉しい!ありがとうございます!

もちろん、ウエスターレンとの時間は

お邪魔しませんから、安心してくださいね……」


そんなイザマーレ談義で盛り上がる……



Fin.


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