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わっしょい


今日はヴィデオ黒ミサの為のリハ

サウナスーツを着込み、ストレッチと筋トレを繰り返す金髪の悪魔


後ろでスタッフの声があがる


「ウエスターレン様、いらっしゃいましたー」


湧き上がる拍手


「………」


黙々とストレッチを続けて、視線も向けようとしない


そこへ、フワッと背後から…

抱きしめられた途端、忘れることのなかった紫煙の香りに包まれる


「…っ なっ////」


「よっ♪久しぶりだな💕イザマーレ」


「///ちょっと待て!コロナ渦だぞ!

ソーシャルディスタンス!蜜はイカン💢💢」


「何を言う。俺様とお前の間に壁など不要だ💕そうだろ?」


「💕💕💕」


16年ぶりの逢瀬…いや、その間に一度だけ奇蹟の夜はあったが

お互い悪魔の姿での再会は本当に久しぶりだった

幾度も連絡を入れ、何度も求め続けたが

その声さえ聞くことも許されず、拒絶され続けた日々






嬉しさと戸惑い…こみ上げる想いが去来し、

どんな顔をして迎えればいいのか分からず、

モジモジするのを誤魔化していたイザマーレ


だが、そんな年月の隔たりも何もなかったように

すっと己の領域に入り込む


待ちわびた、紅蓮の悪魔ウエスターレンのぬくもり…


「…んっ…」


口づけは、結構長い時間、続けれられた

周囲の視線を気にかける事すら忘れ…


こいつはいつもそうだ。

吾輩の魔力を全て奪い、そのくせ、もっと光り輝けと

無理難題を命令してくるのだ


……


突然、繰り広げられた2魔に当てられ、苦笑しながらも

しばらくはその様子を見守っていたが、いい加減、痺れを切らし

それぞれの音を出し始める構成員たち


「おーい…そろそろ音合わせしよーぜ💦」


鋭い視線ではあるが、口元は穏やかに笑みを浮かべ

呼びかけるセルダ


すっかり真っ赤に茹で上がったイザマーレの髪を撫でながら

長い脚を仁王立ちさせるウエスターレン

「いつでもOKだ。

俺とこいつは、こうする事で調整バッチリだからな💕」




サウナスーツ姿のイザマーレの足元は、汗溜りができている


御歳10万58歳の身体年齢で、

最高峰の美声をコントロールする為に

とにかく喉を温める必要があるからだ


そんな中、出会った瞬間に交わした

ウエスターレンとの甘い口づけで、一気に熱くなる身体


最近は難しかった音域が難なく出せる。しかも艶を増している。


イザマーレも、周りの構成員も認めるしかなかった


彼にとって、ウエスターレンという存在が、

いかに必要不可欠なのかということが………



悪魔の物差しで眺めれば、ほんの少しの間

吾輩の前から姿を消していたウエスターレンと、奇蹟の再会、そして

元サヤに戻り、屋敷で暮らし始めてから数年…


今でも、最高魔軍を集結させる度に、最初のリハでは必ず

熱い抱擁と口づけを交わし合うイザマーレとウエスターレン


控室では、梅干しのおにぎりを作りながら、時折双眼鏡で眺めては

ニコニコしているリリエルの姿…










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