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サクラ咲いて


プエブロドラドに桜が見事に咲き誇った…

構成員が信者の為に植えた桜の木だった。


近日、桜の木付近で

最高魔軍によるミサが出来るように、舞台設置が予定されていた。

その関係で、今は関係者しか入れないように結界が張られていた。


桜が咲き誇る木の下に姿を見せた、イザマーレとウエスターレン。


「…綺麗だな…」

イザマーレは見上げて呟いた




 

「桜も綺麗だがお前の方がもっと綺麗だ…イザマーレ」

ウエスターレンは肩を抱き寄せている。

イザマーレも顔を赤く染めウエスターレンを見つめた。


「桜だけはこれからもずっとお前と見たいぞ、ウエスターレン。

離れることなく…永遠にな」

「…イザマーレ…愛してる…いつまでも永遠に…」

見つめ合い、抱き合う…


任務の合間にたまたま桜を見に来たダイヤは、2悪魔の姿を見てふと思った…


イザマーレに愛されたい、傍に居たいと気持ちに囚われている時…

リリエルだけではなくあの2魔の時間まで奪おうとしていた…

雑に飛ばされていたのも自分が撒いた種だったのだ…と。


それでもイザマーレは自分を見捨てず悪魔化までして、救ってくれた

更にウエスターレンも、自分を見捨てる事もなく配下の部署に入れてくれた。



「心配するな。あいつらは何があっても壊れないから」

ダンケルは姿を現し、落ち込みかけたダイヤに声を掛けた


「!…陛下…」


…ダンケルも、生きてることに気がついても処刑することなく、

何度も村に訪ねに降臨し、必ずダイヤの目に入る所に姿を現していた。


今の自分があるのは、

悪魔たちの優しさに守られ続けたおかげなのだと気が付いた。



「素敵な2魔様ですね…羨ましい!

仕事の時は鬼になるのに、閣下とご一緒だといいお顔になられる。

違う一面見ちゃいました。ご馳走さまですって言っちゃおうかな!」


ダイヤはダンケルに微笑み再び見上げて桜を見ていた。

ダンケルはダイヤを見つめていた




 

「ダイヤ…魔宮殿に戻ってこないか?后として…正式に迎えたい」


ダンケルが微笑んで言った。

ダイヤは驚いた顔を見せたが…


「…有難いお言葉に感謝しますが…仕事は辞めたく有りません。

この仕事は好きですし…。鬼上司の元で働くのも楽しいのです。

妃になったら仕事も辞めなければならないのはちょっと…」

ダイヤは俯いて言った


「別によいではないか。世間では、わりとよくある事だろう?

兼業主婦ってのが」

ダンケルは微笑んでいた

「私もここで元気に走り回るお前が好きだぞ♪

妃になっても自由に仕事をこなせ」


驚きと嬉しさが入り交じり、ダイヤは涙を見せ笑顔になった


「陛下…こんな我が儘な私ですが…宜しくお願い致します。」


ダイヤは頭を下げた。


イザマーレとウエスターレンも2名の事を笑顔で見守っていた


「許してもらえるだろうか、イザマーレ。

この次は、お前たちに逆らってまで、

そしてダイヤの気持ちを無視してまで

連れていくマネはしない。

ダイヤを后として迎え入れたい」


ダンケルはイザマーレに言った


「陛下とダイヤが決めたことなら、我々は応援しますよ。

但し!何度も言いますが公務に穴をあけ、

我々が被害を被ることだけはお止めください(苦笑)」


「…それは無いように、私からもビシビシ言いますので!」

ダイヤは微笑んで言った




 

まもなくダイヤはダンケルと正式に后として儀式も行い、

プエブロドラドにも朗報が届き、お祭り騒ぎになっていた。

そして次の警備は誰になるのかと噂話で盛り上がっていた。


しかし…


朗報届いた数時間後にはダイヤは黒い軍服を着て村の巡回していたのだ。

いつもと同じく話し掛けるダイヤに住民達は驚きを隠せなかった。


后の儀式後に仕事に戻ってしまったダイヤである。


「つまり、私が村に遊びに行けば良いのだな♪」


イザマーレの忠告空しく、頻繁に訪れるようになったダンケルの為に

プエブロドラドには強力な結界が貼られることになった。



「あいつ本当に変わったな。

儀式後なら体力も消耗してるはずだよな(笑)」

結界を貼り終えたイザマーレは呟いた


「いいんじゃない?これで信者たちも

平穏な暮らしが出来るのなら…善いことだよ」


ベルデとイザマーレは笑顔で仕事をしているダイヤを見守る。

彼らが愛する信者が暮らすこの村に

平穏な日々がいつまでも続く事を願って……



Fin.


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