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ダンケルの求婚


魔宮殿のある一室に、ダンケルの趣味一色で装飾された部屋が

ダイヤに用意されていた。

常に着替える洋服まで…更にダイヤ用に使用魔も付けられた。

いつでも戻って来れるようにとのダンケルからの気持ちだった。

ダイヤはかなり困惑していたのだが。


そしてまた…イザマーレの所に居た時に、

強制的にウエスターレンは雑な扱いでダイヤを魔宮殿に送った


「…また?いい加減にして…」

ダイヤは項垂れて座りこんでいた


『…ダイヤ?』

いつの間にか目玉蝙蝠が。ダンケルがダイヤの部屋に送っていた。

「……はい…」

ため息混じりに目玉蝙蝠を見た

『…話がしたい。私の部屋においで…待っている』

その後通信が切れた。いつもの通り情けで慰めてくれるのか?と思いつつ

戦闘服を脱ぎ、用意してくれていた洋服に着替えダンケルの元へ行った


「…お待たせしました。参上いたしました。」

ダイヤは頭を下げ敬意を示した

王座の前にテーブル…ダンケルが好みそうな菓子などが並べてあった。


「待っていたぞ…座れ」

「失礼します…」

ダンケルの前に座った


「まぁ食べながら話そうか?」

ダイヤに進めながら紅茶を飲んでいた

「…頂きます…陛下…お話とは…?」

紅茶を飲みながら聞いた



 

「…もうそろそろ諦めたらどうだ?イザマーレの事を…

ウエスターレンもリリエルも居る…

彼奴らが絡む度にお前は飛ばされる…見てられないのだ…」

「……」


何も答える事が出来なかった…ダンケルに甘え過ぎた…

飛ばされる度にダンケルは優しく迎えてくれる…

それに甘えている自分…

このままだとダンケルにも迷惑をかける…


「迷惑とは思ってないぞ?」

ダイヤの心を読み取って言った


「……諦めても…私は行く所もないし…人間界に帰る場所もない…

陛下に甘えるのも…どうなのか…と…意地になってると思っています」

どこかでダイヤ自身も考えていた

このままでは自分で自分を思い詰めて崩れていく…


「大魔王の嫁にならないか?」


ダンケルは微笑んで言った


「……はい???」

ダイヤは固まってダンケルを見た


「…また…ご冗談を…」

カップを置きながら言った


「冗談ではない。私は本気で言ってるのだ」

「……情けで…ですか?」

「情けではない。大魔王が嫁を迎えても問題なかろう?

ダイヤは私の事を好いてくれている。私もお前を大切にしたい」


「……私は閣下に忠誠を誓った身です…」


「解約させる…もう必要なかろう?雑に玩具みたいに扱われ、

飽きたら放りなげる…それでも忠誠を続けるのか?」




 

言葉が心に刺さった…刺さった言葉から抜け出せなくなっている。


「……陛下…申し訳ありませんが…答え出すのに時間頂けませんか…」

雑に扱われて落ち込んでいる時の大魔王からのプロポーズ。

のめり込みそうになる…自分の考えをもう一度確認したかった…


「…時間をやろう。明日までに答えをだせ」

ダイヤは黙って頷いた



ダイヤは魔宮殿の部屋に戻りずっと考えていた

自分はイザマーレに忠誠を誓ったのに…毎回雑に扱われ

傍に居る時間が少なくなっているし、愛されてる訳ではない…

傍に居たいが、いきなりウエスターレンにダンケルの元に飛ばされ、

多忙な時にさえ嫌な顔1つもせず、

笑顔で迎え入れてくれるのはダンケルだけだった。

心が揺れ動く…

悩んでるうちにダンケルに答えを言わなければならない時間になった

…ダイヤはダンケルの部屋に向かった


王座に座っているダンケルの近くに行った

「……」

「決まったか?」

ダンケルは微笑んで見つめた

「…陛下…昨日のお話の件ですが…私は陛下の事をお慕い…」

言いかけた時だった。部屋に魔法陣が表れイザマーレが姿を現した。

余りにもタイミングが悪すぎた…


「!!!閣下!」


ダイヤの言葉など聞いてはいなかった

「陛下、ダイヤを見て頂き有難うございます。迎えに来ました。

ダイヤ任務だ。来い。」


いつもの口調で言ってくる。また雑に扱われ投げ出されると感じた…



 

落ち込んでいるダイヤを見て、

ダンケルはイラッとしてイザマーレに言った


「少し待て!…丁度良いダイヤの話を聞いていけ。

それからでも遅くはないはずだよな?イザマーレ」

ダンケルが冷酷に言った。一瞬緊迫した空気が流れた…


「ダイヤもう一度初めから言ってごらん?」

優しくダンケルは言ってくる。


「…陛下…昨日のお話の件ですが…私は陛下をお慕いしています…

あの…閣下に雑に扱われるのは…」


ダイヤが『雑に扱われるのは仕方のないこと』と言いたかったが、

どこかに本音は『雑に扱われたくなかった…』の気持ちがあり

続けられなかった…


「…大丈夫だ、正直に話せ…」

「…雑に扱われたく無かった…のが本音です…」

嘘を付いてもダンケルに見透かされる…ダイヤは俯いて言った



「…何を言ってるのだ?ダイヤ」

イザマーレは唖然として呟いた


「……陛下…貴方様が雑に扱わず

私を生涯大切にしてくださるのなら…

お話…喜んで…お受け致します…」

ダイヤは言い切ってしまった…


「…では…受け入れると言うことだな?」

嬉しそうにダンケルは言った


「…御意…貴方様に寄り添い生涯を共に過ごします…

閣下…申し訳ありません…もう雑に扱われるのは限界です…

忠誠契約を解約してください…」

涙を流しながらイザマーレに言った



 

「ちょっと待て!ダイヤ。陛下、一度ダイヤと話を…」


イザマーレが言いかけたとたん、

ダンケルは怒りで窓のガラスが爆音と共に割れ砕けた。


「黙れ!イザマーレ!ダイヤとは話す事も許さん…

ウエスターレンにもリリエルにも伝えよ!

ダイヤは私の妻になる。気安く扱うなとな!

この前も言ったはずだ!ダイヤの扱いを考えろと…

今までの報いだ、一歩も近寄るな!」


冷酷なダンケルに戻っていた。完璧にダンケルを怒らせた…

イザマーレは一瞬目を泳がせたが、そのまま魔宮殿を出ていった


「…ダイヤ部屋に戻って…後から部屋に行く」

ダンケルはダイヤを促した。

ダイヤは泣きながら頭を下げ部屋を後にした…



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