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光のたくらみ


ダイヤの花嫁衣装に納得したリリエルだったが

どうしても気になる事が頭をよぎる

「…閣下…」

「どうした?リリエル」


ダイヤの花嫁姿を見ながら考え込んでいるリリエルを

イザマーレは心配そうに見つめた


「ダイヤ様の先程の衣装を見たら…陛下の衣装が気になります…

まさか…とは思うのですが…」


リリエルの話にウエスターレンの目が輝く…

(絶対にダンケルの事だ!楽しくなってきたぞ!)

「じゃあ!見に行こうか?」

ウエスターレンが率先してイザマーレとリリエルも連れ

ダンケルの元へ移動した


「よぉ…ダンケル……!!!!」

ウエスターレンは声掛けた途端震えていた…

「…ダ、ダンケル…その…姿www」

ウエスターレンが笑いを堪えていて震えていた。


イザマーレの後ろに居たリリエルはヒョコっと顔を出した

「な…っ、な、何!その恰好!」




 

ブチ切れ寸前のリリエル


イザマーレは焦り、リリエルを抱きしめて

なんとか落ち着かせていた。


ウエスターレンは我慢出来ず爆笑しまくっていた。


ダンケルが着ていたのは…

人間界でも今や目にしなくなった、

バイクに乗って威嚇するような…特攻服

背中には真っ赤なダンケルの紋章が浮かび上がっている


「(怒)陛下!!その姿のどこが『王子様』なんですか!!」

リリエルは怒鳴りまくっていた…


ダイヤ様といい、陛下といい…!!


リリエルはイザマーレの腕の中で怒っていた

怒りで髪がワナワナと揺れている


「リリエル!落ち着け!ウエスターレン!笑うな!」

イザマーレはリリエルの髪を撫で、なんとか落ち着かせ

王室を破壊しないようにするのが精一杯だった。


「どうだ?良いだろ~(*^^*)」

ダンケルは鏡を見ながら言っている。

リリエルの怒りは差程気にしていない様子…


「リリエル様…」

ダイヤを担当した衣裳魔の上司と思われるベテランの使い魔が

リリエルに近づき声を掛けた


「貴方が担当!?何のつもりなの!?

ダイヤ様の晴れ舞台をメチャクチャにしたいの!?」


リリエルがここまで青筋立てて怒るのは珍しい

だが、少なくとも怒鳴り散らしている間は、まだマシだ。

もっと冷静に静かに怒り始めたら最後。



 

だが、使い魔の心理を読み取ったイザマーレは、

リリエルを見つめて言い聞かせた


「何か、理由がありそうだな。リリエル。

まずはこいつの話を聞いてみたらどうだ?」


イザマーレとリリエルのやり取りを見ていた使い魔は

微笑んで話し始めた


「確かに…今の陛下の御衣装は

披露宴でお召しになるには相応しくありません。」


「…そのとおりね。だったら何故?」

リリエルはため息をつきながら聞いた


「陛下がお召しになりたいと仰れば

私は従うしかありません。しかし…」


ベテランは指を鳴らしもう1つ衣装を出した。

光沢の有る黒のタキシード。

肩に羽根飾りもあり、長いマントまで付いていた


「これなら披露宴でも問題ないと思いますが…

リリエル様いかがでしょうか?

今、陛下がお召しになられてるのは

前から頼まれていた物になります」


ベテランは頭を下げリリエルに伺った



「ほぅ…なかなかやるではないか!」

イザマーレもホッとして言った


「…なるほど。では今この場でわざわざ試着なさってるのは

陛下の紛らわしい悪ふざけという事ですのね?」


真相が分かり、リリエルはようやく落ち着いた。

だが、使い魔の話はこれで終わらなかった。


「副大魔王閣下様とお妃リリエル様、

情報局長官様の特攻服も御用意しました!

是非陛下が一緒に着られたいとの御希望だったので…」



 

「…はい?」

3魔は声を揃えて言った


それぞれに特攻服を渡しながらベテランは話を続けた


「それと、ダイヤ様の衣装を担当したのは私の部下です。

失礼があったようで申し訳ありません。新米の悪魔で、

ダイヤ様の言われた通りに作成したようです…。

私は陛下のお召し物を長く作っていますので、

陛下の性格も存じあげてます(*^^*)

披露宴のタキシードの注文は言われてませんでしたが、

本番にお召しになって貰います。

新米の悪魔には、ダイヤ様のお気持ちも

まだ読み取れなかった様ですね…

よく言って聞かせますので…」


「さすがだな♪私が言わなくても作り上げる。

見事だ!勿論タキシードは着させて貰うぞ!

私の思ってる衣装になったな♪ご苦労であったな。褒めて遣わす!」

ダンケルはベテランに微笑んで言った。


ダンケルの褒め言葉に頭を下げつつ

「特攻服は、日頃の気晴らし用にご活用くださいませ♪」

笑顔でベテラン使い魔は応えた。


「リリエル様、もし良ければ

新米にチャンスを与えて頂けないでしょうか?

お許しいただけるなら、リリエル様の舞踏会の衣装を

作らせて貰えないでしょうか?」


ベテラン使い魔はリリエルに聞いた


「…時間がなかろう?出来上がるまで時間がない。

それなら新米にデザインを書いて貰おうか。

気に入れば吾輩が魔力で作り上げる。リリエルどうだ?」

イザマーレは微笑んで言った。


「閣下がそこまで仰るのなら…喜んで!」

リリエルもやっと納得して頷いた



 

「日頃から、陛下の我儘にお応え頂いている貴方のような衣装魔に

声を荒げてしまって、ごめんなさいね。」


「いっ…いえいえ…(汗)何もご存知なければ

驚かれるのが当たり前ですから(苦笑)」


ようやく笑顔が戻ったリリエルに、恐縮するベテラン衣装魔。


「陛下、安心しました。当日はしっかり『ダイヤ様の王子様』になって

素敵にエスコートなさってくださいね♪お約束ですよ?

それならば、今日の悪ふざけは忘れて差し上げます。その代わり…」


不敵の微笑みを浮かべ、ダンケルを見上げるリリエルだった


「さて…ダイヤの衣装を見せて貰いに行くかな♪」

ダンケルは特攻服を着たまま、ダイヤの居る部屋に瞬間移動した。


「我々はその新米悪魔と打ち合わせだな…」


含み笑いをしながら

イザマーレとリリエル、ウエスターレンも

ダイヤの居る部屋に移動した


花嫁衣装を纏ったダイヤは、ダンケルの特攻服にビックリしながらも…


「陛下~!特攻服だ!!素敵!!」

と抱きつく

「ダイヤ…綺麗だ…今夜は寝かせないからな…」

耳元で囁きダイヤを真っ赤にさせていた



イザマーレ達は早速、新米悪魔と打ち合わせを始めた

…2時間後に出来上がったデサインをリリエルに見せた。

ワインレッドのチャイナドレス風の衣裳…


「綺麗な色!!デザインも気に入りました(*^^*)」

「では、決定だな?リリエル」


益々イザマーレは含み笑いを堪えている


(…デザインはこちらで少し変えさせて貰うからな…)

イザマーレは心で呟いていた


リリエルは喜んでいたが、その夜に赤面する事になる…




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