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光のない屋敷


イザマーレがゼウスに囚われ、ヨッツンハイムに閉じ込められたあの時


民衆に紛れて駆けつけてきたLilyelに気付いたイザマーレは焦り

必死で声を届けた


『何故来たのだ!そこから動くな!絶対に来るな!

吾輩は大丈夫だ。何があってもこっちには来るな!良いな?

絶対に奴らに見つかるな!』


Lilyelはイザマーレの言葉に従い、動きを止めたが

流れる涙をどうすることもできずにいた


すぐ傍でイザマーレを救うために

邪眼を開放させようとしていたウエスターレンに

イザマーレが必死に呼びかけていた


『ウエスターレン!聞こえるか。

吾輩は大丈夫だ。今は堪えてくれ!無理しないでくれ、頼む!

Lilyelを奴らに気付かせるわけにはいかない!

よろしく頼む…ウエスターレン…』


愕然と泣きはらしているLilyelを抱き寄せ、

すぐさま屋敷に瞬間移動させたウエスターレン。

イザマーレという光を失い、暗闇のような屋敷

その日の朝まで、寄り添っていたプライベートルームで

Lilyelはただ、泣き続けていた


同じように愛するイザマーレを失った喪失感に苛まれながら

ウエスターレンはひたすら、Lilyelを抱きしめていた


「Lilyel、泣かないでくれ。頼む。」

「…!…長官…ごめんなさい。長官こそ、辛いですよね」

「…大丈夫だ。あいつは必ず戻って来るから。

あいつの為に、笑っていてくれ、頼む。Lilyel…」


ウエスターレンの悲痛な思いを痛いほど理解するLilyel

主を失った屋敷を、ウエスターレンと共に守り抜く決意を固める




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