(昨日はあんな事言ってしまったが、しょせんはピロートークでの事。
約束でも何でもない。屋敷には、もう居ないだろう。
今日からまた暗闇を開け続けるだけだ)
人間界での活動を終えたイザマーレは、
そう言い聞かせながら、帰路についている。
自然、歩を進める動きが加速する 。
屋敷は、やはり思った通り真っ暗だった。
「……やっぱりな。でも良いのだ。再び同じ時を過ごせただけでも…」
そう呟きかけた時、扉が開く
「イザマーレ、お帰り。」
「 !」
振り返り、言葉を失ったまま固まるイザマーレ。
「ん?どうしたんだ?腹減ったろ?
上手いもん食わせようと思って、買い出しに行ってたんだ」
「…っ、もう居ないと思ってたぞ」
嬉しさと驚きが綯い交ぜになり
顔を上げられずにいるイザマーレの顎に手をかける。
「な、何の用だ?わ、吾輩は…い、忙しいのだ!!用件なら…」
ウエスターレンと目が合う。睨むイザマーレと違い、優しい目で見つめる
「…イザマーレ話を聞いてくれ…頼む…目を反らさずに俺を見てくれ」
イザマーレの透き通った目の中に
自分を見つけながらウエスターレンは話し始める。
「…悪かった…イザマーレ…昨日の事…」
「…ウエスターレンが…決めた事だ。吾輩は…受け入れるしかない。だがな…」
ウエスターレンはイザマーレの口元に人差し指を当て見つめた
「…俺はお前の側に居たいと、そう告げる前に犯してしまった…。
天界との戦いの時も、人間界で布教するお前も守っていきたい。
ずっと傍に居させてくれ…孤独にはさせない…」
「…孤独にさせない…だと?!笑わせるな!証明できるのか!?
出来るのならして見せろ!!今ここで、出来るものならな!!」
イザマーレはウエスターレンの手を払い、激怒した
(…ベルデ、お前の言う通りだった。
こいつの信用を取り戻す為なら、何だってやってやる)
「イザマーレ」
「なっ、なんだ!吾輩は、一悪魔でもやって行けるぞ!
お前はまた、お前の好きに生きれば良いではないか」
そんな事を言うイザマーレの目には涙が滲み出ている
「ああ、そうさせてもらう」
「! 」
気がつけば、イザマーレはウエスターレンに抱きしめられていた。
「イザマーレ、お前が好きだ。」
「…わ、吾輩だって、だ。吾輩の方が、お前の何十倍もだ!」
ムキになって言い返してくるイザマーレを、優しく見つめる。
ウエスターレンはイザマーレを抱きしめた。拒むイザマーレが逃げないように…
「もう何が起ころうとも離さない…愛してる…お前を…離しはしない…」
耳元でウエスターレンの囁く声にイザマーレは徐々に拒む事を止めていた
「…それで良いのか…」
顔を上げたイザマーレに優しく微笑んだ
「…愛してると言っただろ…」
微笑みながら、ウエスターレンはイザマーレの暖かい口唇を奪った…
「もっと愛さないと信用されないかな?」
ウエスターレンはにこやかに微笑み、イザマーレを抱き上げて寝室に向かった
「ばっ馬鹿者!吾輩は愛など信じぬ!吾輩は、わ、吾輩はっ 」
そう言いながら、すでにサラサラなイザマーレの髪を優しく撫でる
「ま、とりあえず、少し黙れよ」
再び、イザマーレの口唇を塞ぐウエスターレン。そして愛し始める…
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