top of page

出迎えた笑顔


「……それよりも、陛下。

貴方こそ、また同じ過ちを繰り返すおつもりですか?

どれだけあの方を、孤独に陥れたら気が済むのですか」



「!」


リリエルはいつのまにか、ダンケルを強く睨んでいた。



「この世の安泰が、誰のおかげだったのか…

忘れたとは言わせませんよ。

それとも、私が今ここで怒り狂って

閣下を暴走させましょうか?

止められるのですか?あの方の魔力を……」


屋敷にいるイザマーレに見守られているとは露知らず、

ダンケルを叱り倒すリリエル。



「というわけで、失礼させていただきます。

少しの間でしたが、お世話になりました」


魔宮殿の扉を開け、出てくるリリエルを

待ち構えていたウエスターレン。


「長官!」

嬉しそうな笑顔のリリエルがそこに居た

女になったLilyelをイザマーレに紹介されたあの瞬間を思い出した


(ようやくこれで、すべてが還る……)


「リリエル、待っていたぞ。

一刻も早く、イザマーレの元に行ってやれ」


熱い思いを堪え、リリエルを屋敷まで瞬間移動させた。


「わぁ♪ありがとうございます!長官、あの……閣下のご様子は……?」


「…リリエル、頼む。何があっても

あいつを孤独にさせないでくれ。俺もお前を守るから……」


迷いもなく頷くリリエルを、心の底から誇りに思う


イザマーレを慰めたい、その想いだけで花から女に生まれ変わり

自ら身体を差し出したあの日のように

イザマーレに駆け寄るリリエル




 

…………

こうして、リリエルに全ての記憶が戻り

彼女のおねだりに応える形で、愛契約を取り消し

時空縛りを避ける為に、忠誠契約に切り替え

リリエルが人間界に居る間の護衛の役目をダイヤに命じた


そして、永久の刹那、一週間の日々が始まったのだ






閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

すれ違いさえ

翌日、約束の時間を少し過ぎて 部屋から出てくるリリエルを 車に乗せ、不機嫌なフリをして睨む。 「…遅かったな。旦那の事も愛してやったのか?」 つい、そんな事を言ってしまう吾輩に 困った顔で俯くリリエル 泣き出す前に抱き寄せ、キスをする 「すまない。いつも上手く言えないな……...

一週間の日々

人間界の屋敷に戻り、笑顔で見つめるリリエルを抱きしめる。 「ただいま、リリエル。待たせたな………」 「お帰りなさいませ、閣下。お勤めご苦労様です………」 リリエルもにこやかに見つめ返す。 「シャワーを浴びてくる。…今日はこの後、どこかに出かけるか?」...

永久の刹那

「流石だな。でもやっぱり、 お前も少しは寂しいんじゃないか?」 イザマーレがダイヤと寄り添う間、 人間界の屋敷で待つリリエルを護衛するウエスターレン。 「…そうですね。でもやはり私は、 全ての人の悲しみを幸せに変えてくださる 素敵な閣下が好きなのです。...

Comments


bottom of page