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分かり合えず


魔宮殿の最上階にイザマーレは降り立っていた。

その場所は庭全体も魔界の町すらも見渡せる所だった。

この部屋の扉はない。ダンケルが扉を消し

誰も入って来れないようにしていた

リリエル達が来る事を知ってダイヤを隔離させていた


ダイヤは、バルコニーにセットされている椅子に座り

外を眺めながら紅茶を飲んでいた

近寄って来る足音に気付いていたが、振り返る事もしなかった。


「…お久しぶりですね…足音で分かりました」

カップを置いて外を見ながら言った


「元気だったか?」

イザマーレもダイヤの横の椅子に座った


「…それなりに…何不自由もなく過ごしてますから…」


「ダイヤ、話をさせてもらう」




 

「……今更何の話ですか?

忠誠を裏切った件なら申し訳ないと思っています…

魔界に来たばかりのあの頃は、

貴方様が愛しくずっと傍に居たいと思ってました。

けど…正直孤独でした。リリエル様が人間界に帰った時だけ抱かれ…

用が終れば容赦なしに陛下の元に飛ばされる。

長官も貴方様もそれを楽しんでいたようにしか見れなくなった…。

大魔王陛下のお立場でお忙しい中、

陛下は私が飛ばされて来ても嫌な顔せず寄り添ってくれた。

貴方様やリリエル様から見れば、陛下に甘やかされ、

あいつは一方的な被害者面してと笑われていたかも知れませんが」


やっとダイヤはイザマーレを見た。

今までのクヨクヨしたダイヤではなかった。

何かが吹っ切れた感じに見えた


「面白かったでしょ?…全く私は楽しくありませんでしたけどね。」

ダイヤは微笑んで紅茶を飲んだ。


「お前はLilyelから切り離した結晶の欠片だ。

吾輩にとってはダイヤも妻だ。」


「…はぃ?妻?今更?

その割には大切にされてませんでしたよ?

…あぁ!失礼…片割れだからこそ、

扱いも適当にしか見えませんでしたけど?

これ言ったらまた被害者面になりますかね?」

ケタケタ笑って言った


「ダイヤ、もう一度吾輩の所に戻って来ないか?」


「…有難いお言葉ですが無理です。

リリエル様がいらっしゃった時には

直ぐにでも戻りたいとも思いましたが…今は…もう…」

ダイヤは遠くを見つめて呟いた


「戻らないという事か?」

「…私は…」

ダイヤはイザマーレを見つめて語りはじめた…



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