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副大魔王の思惑


翌日。枢密院でいつものように報告に耳を傾けるイザマーレ


ミルは書類を見てはいるが、

目の前のイザマーレの様子をチラチラと伺う


いつにも増して苛立っているような…

いつ、何を言われるのか…


ここ数日内の出来事を必死で思い返しながら

咳ばらいをしつつ、報告を続ける


「ミル」


(あ…ほら、やっぱり…もう!)


心でボヤキながら、報告を中断し、イザマーレの次の言葉を待つ


「先日言っていた、枢密院の要員増強の件は、その後どうした?」


「え、それなら当然、お断りしましたよ。

あの場ですぐ、返答しました。

…めっ、メールならここに…ありますからっ」


結果をすぐに報告しないと、必ず怒るイザマーレの性格は

よく理解しているミル。慌ててその時のメールを見せた


「すぐに受けると返事を出し直せ」


「…はあ?」


思いも寄らないイザマーレの言葉に、ミルはポカンと目を丸くする


重厚な装飾の施されたデスクの上に、

バサッと書類の束を広げるイザマーレ

ミルは、慌てて書類をかき集め、中身を確認する


「!…これは……」


ざっと目を通し、内容を把握した途端、

ミルは青ざめて口を手で覆い隠す


「お前が出した断りメールの送信日を境に

頻繁に送り付けられるようになったようだ。

匿名にしたつもりだろうが、吾輩にそんなもの

通用するわけなかろう?」




 

「なんてひどい!逆恨みもいいとこじゃないですか!

……え、でもそれなら、なぜ?わざわざ受けるんですか?」


憤慨しながらも、不思議に思い首をかしげるミル


「だからだ。よいか、ミル。

さも要員を募集しているかのように見せかけ

奴だけに送り届けるのだぞ?そして、まるで何も知らないふりをして

丁重にもてなしてやれ。飛んで火に入る何とやら。

ただ処刑するだけでは物足りないのでな♪」


不敵な笑みを浮かべるイザマーレ


「そういう事なら…畏まりました。直ちに手配します。

…それにしても…相変わらずですねえ。お妃様の事となると…」


チラッと表情を伺い、笑みを浮かべるミル


「聞こえないな。何か言ったか?」


「いいえ。…もう!分かりましたよ!…でも、あの……

リリエル様は、大丈夫ですか?」


「ミル。余計な詮索はするな。頼んだぞ」


「…は、はい!失礼しました。」


慌てて礼をし、起き上がった時には

イザマーレは姿を消していた



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