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名もなき罪


屋敷の執務室…


いつものように、リリエルは公設秘書の仕事に取り掛かっていた

イザマーレは少し前にウエスターレンと共に寝室に入り、

扉を消している


リリエル専用のPCに、

『公設秘書/リリエルちゃんの目安箱』が設けられていた


副大魔王に陳情するほどの事ではない、

些細な悩みやトラブルを気軽に相談できる窓口として、

リリエルが最初に作り上げたシステムだった


「さて、今日は何が届いてるかな…」

独り言ちながら、クリックしてみる


1件目

「お妃様!今日も市場はトラブルなく賑わってます!

美味しい食材が入荷されましたので、明日にでもお越しください!

自警団ともども、待ってます!」


2件目

「リリエル様、今月のコーディネート特集送るぞ。

相変わらず副大魔王様に決めてもらってんのかよ(笑)

また、いつでも遊びに来いよな。待ってる♪」


近頃は、陳情よりも、

リリエル宛の単なるファンレター状態になっていた


3件目…

クリックする前に、リリエルの手が止まる

「…あ~またか…」


中には匿名の誹謗中傷、リリエルに対する妬み嫉み、

そういった内容のものも、少なからずあった。


「…まったく。閣下がいないからいいけど…

こんなのが知られたら、処刑されちゃうぞ…」




 

リリエルは、自分に対しての批判、嫌がらせについては

全然気にしない。鼻歌を歌いながらフィルタリングにかけていく


それにしても、いつの頃からか

同じアドレスで同じ相手からの執拗な陰湿メールが

頻繁に届くようになっていた。



その日は、他の陳情メールがなく、

ついそのメールの中身に興味が湧いて読み始めた


「手のひらサイズの淫乱女!」

「貧相な身体で女王気取り。いい加減にしろ!」

「副大魔王様に甘えすぎ!調子に乗るな、このバカ女!」


「……」


全ての内容が、まったくその通りな気がして、

言い返す気にもならない。


ただ吹き出しそうになるのを堪えていた


「…リリエル?どうかしたか?」


ウエスターレンとの時間を終え、

執務室に戻ってきたイザマーレが声をかけた


「あ、閣下♪…いえ、何もないですよ。

今、お茶をお持ちしますね♪♪」


リリエルはいつものように微笑んで、キッチンに向かった


イザマーレは、リリエルのデスクの隣に座り、

彼女が戻るのを待っていた


その時、リリエルのPCにメールが届き、モニターが表示された


「……」


覗くつもりはなかったが、つい読み取ってしまった


ニコニコしながら戻ってきたリリエルと、一緒にお茶を飲みながら

様子を伺うイザマーレ




 

「…リリエル」


「?」


お茶と一緒にお菓子のクッキーを頬張りながら、

不思議そうに見上げるリリエル


その手の類を全く気にせず

とるに足らない事なのは分かっているが

何も相談されないのも、面白くない


「…いつからだ?」

「え、あ……/////」



一言問いかけただけで、

何を意味するのか察するのはさすがだが…


「リリエル。お前は良くても、吾輩は気に入らない。

もしこれが、吾輩宛に届いていたら、お前ならどうする?」


「…そんなの…許せないに決まってます…」


俯いて、口を尖らせるリリエル


イザマーレは微笑んで、リリエルの髪を撫でる


「そうだろ?それなら、吾輩も遠慮なく動かせてもらう。良いな?」


「……/////」


返答に困り、俯いたままのリリエルに顔を近づける


「返事は?答えないと、キスするぞ?」


「/////……は…」


真っ赤になり、慌てて返事をしようとするリリエルの口唇を奪う


「///こ…答えようとしたのにぃ…///////」


「ん?ただキスしたかっただけだ。可愛すぎるお前が悪い♪」


そう言ってリリエルを抱き上げ、

プライベートルームへ連れ込んだ…



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