屋敷の3階に、あかずの扉があった。
イザマーレの言霊でしか開くことのない扉が、開け放たれた
リリエルを髪に乗せ、イザマーレは扉の中へ入っていく
この扉こそが、天界につながる秘密の通路だったのだ
イザマーレとリリエルが姿を現した途端、
天使たちが一斉に取り囲み、矢を向けてきた
だが、すぐに強力な結界が張られ、天使たちは動きを止められた
「やあ、リリエルちゃん。そしてイザマーレ。待っていたよ♪」
ミカエルが笑顔で出迎えた。
「ミカエル様、お招きありがとうございます」
かつて処刑された記憶が甦り、
恐怖心に苛まれているリリエルだったが
なんとか笑顔で応じる彼女を、ミカエルは抱きしめた。
「心配はいらないよ。俺がいる限り、下っ端どもはおろか、
ゼウスの野郎にも、リリエルちゃんには一切手出しさせない。
楽しい時間にしたいんだ。よろしくな」
「…はい」
天使のオーラではないミカエルに
少しだけ落ち着きを取り戻したリリエル。
そんなリリエルをすぐさま抱き寄せるイザマーレ。
「挨拶にしては、長いだろう(怒)」
だがリリエルは、イザマーレから目を逸らし
笑顔でミカエルに応じた。
「閣下ったら…ミカエル様、お心遣いありがとうございます
楽しい時間にしましょうね。よろしくお願いします」
「………」
そんなリリエルの様子を、
イザマーレとミカエルが見つめていた
言葉とは裏腹に、抱き寄せた時に気づいたのだ。
リリエルが震えている事に……
青ざめた表情のまま、微笑むリリエルは痛々しかった。
イザマーレがすぐ傍にいるとはいえ、仕事である以上
甘えは許されないと、手を繋ぐことも我慢していた。
その後の時間も表向きは平穏に笑顔で乗り切ったリリエル。
やがて、会合が終わり、魔界に戻る時間となった
「今日はありがとうございました。
また、閣下と伺いますね。よろしくお願いします」
もう一度、ミカエルに抱きしめられ
笑顔で応えるリリエル。
「リリエルちゃん?無理しないでいいよ。
俺は、イザマーレの傍で、朗らかに微笑んでいる
君が好きなんだ。天界の空気が、どれだけ
君に苦痛を与えているか、よく分かった。
イザマーレ、それでいいよな。」
「お前がそれでいいなら……」
「!!」
自分のせいで、外交が失敗に終わったと
リリエルはさらに落ち込んだ。
「閣下……ミカエル様…
申し訳ありませんでした……っ…」
「…リリエル?」
泣き出したリリエルに驚き、イザマーレは抱きしめた
「…あとは、お前が何とかフォローしろよな。
イザマーレ。またな♪」
そう言い残し、ミカエルは姿を消した
イザマーレはリリエルを抱きしめたまま、
屋敷のプライベートルームに瞬間移動した
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