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喝采と悪戯


イザマーレとリリエルが居なくなってから、ダイヤは奮闘していた。

ダンケルが公務に支障がないよう動いたり、

ウエスターレンの心情を考え、

出来る限りダイヤがダンケルの護衛にも当たっていた。


ちょうど儀式から1年半が過ぎた頃…

公務の護衛や自分の仕事に終われ

ダイヤにも疲れが見え始めていた


「…イザマーレはまだ復活しないのか!

即復活させる為処刑にする!」

ダンケルがイライラして言う口癖になっていた。


ダイヤは今まではダンケルを落ち着かせていたが…

あまりにも毎回聞かされイライラが募っていった


「陛下。閣下をあてにするのもいい加減になさいませ(怒)

公務が嫌なら私が行きますから!」

ダイヤはビシッと言った


「……」


「お分かりですか?陛下。今まで閣下をあてにしすぎてたのを…

魔界を纏めるのが陛下の仕事でしょ?

何を駄々をこねてるのですか!

処刑にするだの、復活させるなど言って(怒)

閣下がいなくっても問題ないと言えるようにしてください!

その為ならいつでも私は后としても動きますから!」


イライラしているダイヤを見てダンケルは俯いていた


「…陛下。ダイヤはいつでも協力して参ります。

大丈夫ですよ!2名で動けば…ね?」




 

ダンケルのへこみ方にダイヤは苦笑していた


それからはダンケルも文句を言いつつも

ダイヤのサポートを受けながら公務をこなしていた


しかしダイヤの努力も虚しく長くは続かなかったのだ



魔宮殿にベルデが呼ばれた


「やあ!ダンケルどうしたの?」


魔法陣で現れたベルデはダンケルを見て一瞬固まった…

ダンケルは王座で不機嫌な顔をしている。


「イザマーレはまだ復活しないのか(怒)もう1年経つぞ!」

イライラしながらダンケルは言った


「まだ1年だよダンケル。

そんなに早く復活できるとでも思ってるの?」

ベルデは穏やかに言ったが…


ダンケルは魔力を爆発させた。

王室の全ての窓、シャンデリアが木っ端微塵となり

派手な音をたて床に落ちた


魔宮殿のダイヤの部屋には

女子会をしていたLily‘sと、バナトラの付き添いでバサラも来ていた。

王室からの爆音に気付いたバサラとダイヤは魔法陣で姿を現した


「…どうしたの!一体…」

ダイヤは唖然として部屋を見渡して言った。


「ダンケルが壊した。僕じゃない。」

ベルデは全く動じず穏やかだった



 

「イザマーレを復活させる為処刑にする!

私からの厳命だ、すぐにバサラ手配しろ!」

バサラに怒鳴って言うダンケル


バサラは突然の事にオロオロし始めていた


「ダンケル…君だって直ぐに復活しなかったじゃないか!

同じ事だ!落ち着けよ!」


ベルデはダンケルに強く言い聞かせていたが

バサラのオロオロしている姿を見て、さすがにブチ切れた


「バサラ!ダンケルの言った事に従わなくっていい!

ダンケル!もういい加減にしろ。処刑にしたところで

直ぐにはイザマーレは復活しない!」


ベルデの言い放った言葉に、ダンケルの怒りは収まらない。

「バサラが従わないのなら…私が殺す…」


動き出すダンケルを揉み合いながら止めに入るベルデ…


ダイヤは今までの努力も水の泡と

ショックを受け泣き崩れていた


「…やめて陛下…もう…お願いだから…」

ダイヤの方がメンタル崩壊寸前だった


その時…バサラがダイヤの傍に近づいて話しかけた


「…あれ?そういえばあの時、

リリエルちゃんが言ってたのって

まさに今の事なんじゃない?

ほら!俺が陛下のお世話していた時に

リリエルちゃんが言ってた事だよ!」


泣き崩れていたダイヤは、ハッとした。

リリエルの声が、今、聞こえたような気がしたのだ




 

(…もしもの時、陛下をお止めできるのは

貴女だけです。今は分からなくて良いの。

その時が来たら、私の言葉を思い出してくださいね……)


泣いてる場合ではない…ダイヤは立ちがって怒鳴った


「陛下!いい加減にしなよ!

そんなに閣下を処刑したければ私を殺めてから行きな!

こんな程度で文句を言ってる時点で、この魔界は終わりだわ。

私がサポートしてやってんのに、

いつまでも甘ったれてんじゃねぇよ!

閣下がいつまでも尻拭いしてくれると思ったら大間違いだ。

陛下がこの魔界を動かさないでどうする?!

大魔王としての自覚を持て!分かったか!!!!!」

物凄い勢いで睨み怒鳴り散らした


ダンケルもベルデもバサラすらも固まった

まさか…ダイヤがそこまでマジ切れするとは思わなかったのだ…


「…今…イザマーレが話してるみたいだったね…(苦笑)」

ベルデはダイヤに聞こえないようにダンケルに言った…


ダンケルは突然ダイヤがぶち切れた事にかなりへこんでいた

そしてダイヤは2度と「イザマーレを処刑に」と言わないことを

約束させたのだった




 

…後にそれを知ったバナトラ

「でかした!バサラ♪よくやったわ!!」

「?そう?へへっ♪俺って凄いでしょ?」


バサラはよく分かってなかったが

バナトラに誉められた事に嬉しさを噛み締めていた


「やれば出来るじゃない!さすが私の男だわ!」


バサラに抱きつき口唇を合わせたバナトラの瞳は涙に濡れていた



「バナトラ…いつも心配ばかりかけてごめん。

俺、バナトラだけは誰にも譲れないんだ…

君の涙が綺麗すぎて、我慢できない

抱きしめさせてもらうよ?いいかい?」

返事も聞かずにバナトラの家へ瞬間移動し、

熱く愛し合う2名……





 

…ダイヤがダンケルにぶち切れた時、

イザマーレとリリエルは王室の様子を観ていた。


「やっぱりダイヤ様は閣下にそっくり♡素敵~!!」

リリエルは嬉しそうに微笑んでいたが…

イザマーレは内心ヒヤヒヤしていた

ダイヤを使って言わせたイザマーレ自身の言霊だったのだ。


ダイヤの怒りも重なり、上手く陛下を黙らせた

これで数ヶ月はリリエルと一緒に過ごせる。

今までの事を思えば…たまには良かろう。

今回は、リリエルにもバレてないようだしな(笑)


イザマーレはリリエルを抱きしめ口唇を重ねて

再びリリエルを深く愛してとろけさせていった…




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