リリエルが出ていき、イザマーレは再びダンケルと向き合った。
「陛下。お話とは?」
「…お前の嫁は、相変わらず辛辣だな」
少しだけ落ち着きを取り戻したダンケルは、静かに話し始めた。
イザマーレも微笑み返す。
「申し訳ありません。ですが、リリエルの無償の愛の前には
どんな手法も、子供騙しにしか見えないのでしょう。
吾輩も、リリエルにどれだけ救われたか…。
リリエルの無礼な態度はお詫びします。」
そう言いながら
隣の部屋にいるリリエルの様子を見守るイザマーレ。
「…このまま引き下がるのは悔しいからな。今日から
闇のお仕置きは控え、普通に愛することにする。
見ておれ。それでも私はダイヤを必ずものにしてみせる。」
「それが良いでしょう。影ながら、応援していますよ」
堂々と宣言するダンケルに、イザマーレも穏やかに切り返す。
「……」
しばらく間が空き、ダンケルはとんでもない事を言い出した
「イザマーレ任務だ」
ダンケルは改めてイザマーレを見て言った
「ダイヤは私しか見ていないと言ったが、やはりまだ確信が持てない。
そこでだ!!イザマーレ。
リリエルとの濡れ場をダイヤに見せ付け、その反応を報告せよ!」
「……はぃ?」
秒針が一回転するまで固まったイザマーレは、なんとか応じる。
「なぜ陛下たちの駆け引きに、リリエルとの…が必要なんですか!」
さすがにイザマーレは拒否した
「この5年、ダイヤは私だけしか見ていない。だからだ!
昔、忠誠を誓い、愛契約していたあいつが
たった5年で直ぐにお前を忘れるとは考えにくい。
やっぱりと言い出しかねないだろ?」
ダンケルはため息をついて言った
「さすがにこの任務はお受け出来ません。
ダイヤの甘ったれは承知してますが
そんなことに我々を巻き込まないでいただきたい。」
イザマーレはハッキリ言ったが……
「…厳命だ!必ずお前が実行せよ」
言い切られたら、やはり聞くしかなかった
「……それではこちらも条件がございます。
ダイヤがもし、何かしらの反応をした場合は
即、その場で抹殺させて頂きます。
宜しいですね?陛下。それが条件です」
イザマーレはダンケルを見て言った。
「……よかろう。抹殺したにせよ、報告は必ずせよ。
万が一抹殺した時には証拠としてダイヤも連れてこい」
ダンケルは渋々了承した
ため息をつきたくなるのを堪え
イザマーレは頭を下げ、立ち去った。
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