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大魔王の復活


ダイヤはイザマーレにエナジーを分けて貰い

やっと食事も歩く事も出来るようになった。

そしていよいよ腕の治療となった。

かなりの激痛に苦しみながら

イザマーレに言われた『早く元気な姿を見せてくれ』を励みに

数日後には腕の神経も繋ぎ終え、今まで通りに動かす事が出来た…


しかし…ダンケルは眠りから覚めないままだった


「もう大丈夫なようだね!よく頑張ったよ」

ベルデはニコニコして言った


「有難うございます!…和尚、陛下はまだ目覚めてないのですか…」

ダイヤは心配そうに聞いた


「…目覚めてないね」


「…和尚、陛下に会わせてくれませんか?」

ダイヤも医務室に運ばれた後は全くダンケルに会っていなかった。


「…ダンケルに会って恐怖が甦らなければ良いけど…」




 

ベルデが一番心配している事だった

数万年に一度の生き血を飲む生け贄になったのはダイヤ…

その事を理解していたとはいえ、かなりの恐怖だったに違いない。


「…和尚、私は大丈夫ですよ」

微笑んでダイヤは言った

「そろそろ陛下に目覚めて頂かないと…

閣下だけに魔界全体を任せっきりでは…それに…」

ダイヤは俯いた

「陛下に早く復活して頂き、また一緒に生活したいので…」

恥ずかしそうにダイヤは言った


ベルデはダイヤの話した言葉に頷き、ダンケルの部屋に案内した





厳重に結界が貼られ誰も入れないようになっている部屋…

ダンケルは寝ていても美しく

魔界の大魔王とは思えない美形であった


「…和尚…すみません…陛下と2魔にさせてもらいませんか?」

ダイヤはダンケルを見ながら言った


「…何かあったら呼んでね」

ベルデはダイヤの肩に手を添えてから部屋を後にした。


ダイヤはベットに上がりダンケルの上に馬乗りになった。

大魔王陛下に対して許される行為ではなかったが…


「…陛下…早く起きてくださいませ」

ダイヤは口唇を重ねた。

しかし目を覚まさなかった


「…やっぱりこの手でも無理だったか…」




 

ダイヤはため息を付いて

ベットから降りようとした寸前に手首を捕まれ引っ張られた


「ひゃぁぁ!なに!何!?」

めちゃくちゃ変な声を出した


「…ダイヤ、大胆に私に馬乗りになって…(笑)」

ダンケルに抱き寄せられていた


「…陛下…」

ダイヤはまたうるうるしてダンケルを見つめていた


「…すまなかったな…怖かっただろうに…」

ダンケルは更に強く抱きしめた


「…良かったぁ!陛下ご無事で♪そりゃ怖かったけど…

后になったんだから少しはその覚悟はしてました

けど…もう痛い思いは遠慮したいです(笑)」

ニコニコしてダイヤは微笑んだ


「ダイヤ…礼を言うぞ…大義であったな♪」

「有り難き幸せです♪陛下」




「…愛してるぞダイヤ…もう離さないから覚悟しておけ…」

ダンケルは微笑んだ

「ダイヤは陛下をお慕いしております…

もう離さないよう…願います…」



ダンケルは優しく口唇を重ねダイヤをたっぷり愛した…

数日間、扉が現れる事はなかった…




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