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大魔王の苦笑い


事件後

しばらくの間、屋敷のプライベートルームの扉は消え続けていた


ウエスターレンがプエブロドラドの警備室に詰めている時、

ダンケルが姿を現した

「よお。どうした?ダンケル」

紫煙を燻らせ、顔を見る事もなく話しかけてくるウエスターレン

目の前のデスクの上に、大量の書類をバサッと置く


「ほら(怒)お前から押し付けられた大量の契約書だ!!

受け取れ!!!💢💢」


若干、怒りで警備室が振動するが

ウエスターレンはお構いなしに中身を確認しながら

ニヤッと笑いかける


「やればできるじゃねーか♪まだまだ、大量に残ってるぞ?

イザマーレたちが部屋から出てこないからなあ(笑)」


苦笑するしかないダンケル

「…今回だけは特別だぞ。まさかあの時に

あのような伝達があるとは思わないじゃないか…💦」



……


遊園地から戻ったリリエルたちと別れ、

魔宮殿に戻って来たダイヤと一緒に

ラァードルの居る元老院へ訪れたダンケル


少し日は空いたが、スプネリアを妻に迎え入れたラァードルを

ダンケルなりに祝ってやりたい気持ちになり

大量のワインと酒を持ち込み、飲み明かそうとしたのだ


魔界と雷神界……時空は違えど

皇太子という立場の窮屈さを知る、数少ない旧知の仲と言える。



ボランティア活動に関しても、ダンケルなりに理解を深めようと

スプネリアに話しかけ、それなりに有意義な時間を持てたと思っていた


やがて、女性2名は酔いが回って来たのか、ぐっすりと眠っていた




 

その時に、魔鏡が光を放ち、交信してきたのだ

現れた雷帝妃の言葉に驚愕したダンケル


(だが…そういえば、人間界で行う期間限定黒ミサのことで

翌日には王室へイザマーレたちが来ることになっていた

ここで入手した情報など、あいつらのことだから

とっくに把握しているはず

ならば、そこで話を聞いてやっても良いな…)


そんな事を思いながら、寝落ちしたダイヤを抱き上げ、

魔宮殿へ戻ったダンケルであった


そして、翌日、予定通り王室でイザマーレたちを出迎えるが

その事については話題にも上げず、何も触れない


(…という程度のものなのだろう。お前が落ち着いているのなら

問題なかろう。…それにしても、相変わらず私を頼らず…(怒)

たまには甘えれば良いだろうに…)


状況を冷静に分析しつつ、物悲しさを感じていたダンケルに

ウエスターレンがニヤッと八重歯を覗かせ、近づいたのだ


「安心しろ。ダンケル。お前にもやるべき事はたんまりある。

我々が人間界に行くという事は、お前…暇だろ♪

溜め込んだ契約書を捌くチャンスだな?」


……


「私もやれば出来るのだ!!見くびるなよ!!!(怒)」


口調とは裏腹に、

珍しく穏やかな表情を浮かべるダンケルであった



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