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大魔王漫遊


屋敷内の情報局部屋で、

魔界中のモニターチェックをしていたウエスターレン。

プエブロドラドを映し出す映像に、思わず二度見してしまった。


「…やっぱりダンケルだ…あいつ何してんだ?変装までして…」

ウエスターレンは笑いを堪えてイザマーレに報告しに行く…


ダンケルはプエブロドラドにこっそりと降臨していた。

身分が分からないよう、

黒い細目のジーパンにいかにもロックのお兄ちゃんが着そうな上着。

何故か伊達眼鏡をかけていた。


通りすがりの住民は陛下に似てるな…?

ダンケル宗の信者か?としか思わなかった。


ダンケルは村中をゆっくりと歩き回る。

環境も整っており、言う事無しの村の様子にご満悦だ。

だが、1名の信者を見て驚きを隠せずに立ち止まる。


ダイヤはダンケルに気が付かず、信者と立ち話をしていた。


「最近はどう?体調は?ダイヤさん最近忙しいみたいだね?

無理してるんじゃないの?」

「大丈夫よ!悪魔になったしもう元気よ~」

「……え?悪魔になったの!魔力も?」

「多少だけど使えるようになってきたよ」



 

ニコニコ話ているダイヤに、ダンケルは唖然としていた


その時、立ちすくむダンケルの横にイザマーレが魔法陣で姿を現した。


ダイヤと話していた仲魔はイザマーレに気付いて黄色い声を出した。

ダイヤも振り向き、イザマーレに会釈をした。

そこでやっとダンケルに気が付いた。

一瞬固まったものの、ダイヤはお仲魔と別れその場から立ち去った。


「…何されてるのですか?陛下」

イザマーレは努めて冷静にダンケルの姿を見た


「……イザマーレ、どう言う事か説明せよ。

何故ダイヤが生きている?殺めろと言った筈だが?」

ダンケルはイザマーレを見て言った


「お言葉通り、確実にあいつを殺めましたよ。」



「ですが、命じられたのは殺めるというだけで、

その後の処理については何の指示もございませんでしたから」

イザマーレはシラッとして言った


「私には逆らったのに、何故お前にはできたのだ?悪魔化に……」

ダンケルはダイヤが去った後を見つめながら言った

「いつも泣いて私に甘えていたのにな…」

ダンケルは遠い目で呟いた


「時には厳しさも必要なのですよ。

優しさだけでは頑固なあいつを守り通すことは出来ません。」


イザマーレは微笑みながら語る。



 

「それにあいつはそこまで弱くありません。

いつでも、自分の足で立ち上がります。

それを、信じて見守ってやればよいのでは?」


「…ふん!私はこれまで、お前とウエスターレン、それからリリエル。

お前たちの恋愛模様しか見ていなかったのだ。

たまには失敗もある!!」


ダンケルはようやく顔を上げ、元気を取り戻したようだ。


「その意気ですぞ、陛下。何事も、簡単に諦めてはなりません。

一度の躓きなど、失敗の内にも入りませんよ。」


ダンケルを励ましながら

近づく影に微笑みかけるイザマーレ。


「…お前も見に来たのか?リリエル。問題を起こしていた村民が消えて、

今のところ平穏のようだな。ダイヤも元気そうだ。安心したか?」


「はい♪無事に解決できて良かった…」


イザマーレは微笑んでいるリリエルを髪に座らせた。


「陛下、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。

さ、陛下も一緒に王宮に戻りましょう。

警護が手薄になると、長官も心配されてますから。」


リリエルに促され、イザマーレと共にダンケルも魔法陣で立ち去った…



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