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始まりの場所


リリエルとイザマーレが、花の美術館にいる頃

ウエスターレンは1魔、元老院の裏庭に佇んでいた


目を閉じれば、鮮やかに甦るあの日の記憶……


「おいお前!これからまいにち、吾輩とあそべ!」

天真爛漫な笑顔でウエスターレンの手を取り

屋敷へ連れ帰ったイザマーレ。


「お前に吾輩の宝物をみせてやる!」

嬉しそうな笑顔で、百合の花を見せた


「へえ、綺麗だな」

素直に感想を述べるウエスターレン。


「こいつはただの花じゃないぞ!

おい、お前にも、ともだち連れてきてやったぞ♪」

楽しそうに花に話しかけるイザマーレ


「…こんにちは♪イザマーレ様のお友達ですか?

よろしく仲良くしてくださいね」


ウエスターレンも笑顔になる

「こちらこそ。俺はウエスターレンだ。よろしくな♪」


……

…あれが、すべての始まりだったんだ。


改めて、熱い思いがこみ上げるウエスターレン。


そこへ、イザマーレに飛ばされたリリエルが現れた


「きゃあっ(汗)ごめんなさい、長官。」




 

はじめてイザマーレに飛ばされたリリエルは方向感覚を誤り、

ウエスターレンに抱きついてしまったのだ


「……!リリエル……」

思わず、抱きしめ返すウエスターレン。


「?……長官?……」

不思議そうに見上げるリリエル


……

あれは、いつの事だったろう……

そうだ、イザマーレと恋魔になって少し経った頃

大魔王クラスの悪魔が、何万年かに一度、完全に理性を失い

その際には生贄が必要になると聞かされたイザマーレが

ひどく落ち込んで……


心配して駆けつけた俺に、イザマーレは弾ける笑顔を見せた


花のリリが、女になったと……


初めて、女の姿になったお前を見た時の衝撃は、今でも忘れない。

イザマーレの傍に寄り添い、微笑むリリエル……


少しだけ芽生えた、イザマーレに対する嫉妬……


だが、そんな俺にイザマーレは笑顔を輝かせて言ったんだ。

「だからといって、ウエスターレン。お前を手放す気はないぞ?

吾輩は欲張りだからな!」と……


あの時から俺は、お前たち2魔ごと愛そうと誓ったんだ。

もう一度、リリエルを強く抱きしめるウエスターレン


「…っ、あ、あの……」

リリエルは、困り果てていた




 

「お前ら……なにをしているのかな?(怒)」


そこへ、花の美術館から戻ったイザマーレが姿を現し

ブチ切れかけていた


「!……か、閣下…あの……っ…」

さらに慌てるリリエル


ウエスターレンからリリエルを引き離し、抱きしめながら

ウエスターレンを見つめるイザマーレ。


「…寂しかったのか?ウエスターレン。すまないな…」

そう言いながら、ウエスターレンにキスをした


「!//////」

驚き、顔を赤くするリリエルに振り返り

「お前もだ。まったく、少し目を離すと……。」

そう言いながら、優しくキスをするイザマーレ


「「//////」」


揃ってキスされてしまったウエスターレンとリリエル


「お前たちの事は、誰にも譲らない。吾輩の宝物だからな」


「…閣下……」

イザマーレに抱きつくリリエル。

そして、2魔ごと抱きしめるウエスターレン

「イザマーレ、俺も愛している。リリエルもな♪」


少しの間、静かな時間が流れていた


そこへ、現れたのはセルダとバサラ

「あー!何やってんの!ずるい!俺たちも混ぜろ~」


「!…え?」



 

「ベルデに聞いたんだ。

ウエスターレンとリリエルちゃんの思い出の場所なんでしょ?

そんな大事な場所、俺たちにも共有させてよ~」


そう言いながら、

お茶会用にテーブルと椅子を持ってきたのはラァードル。


「イザマーレが、欠かすことのできない

2つの愛に出会った場所なんて

とてつもない磁場があるに違いないじゃない。

そんな大切な場所を、名もなき場所にするのはもったいないよ

是非、僕に研究させてもらうよ♪」


お茶とお菓子を持って穏やかに話すのはベルデ


「…やれやれ。せっかくのいい場面が、台無しだな(苦笑)」

憎まれ口をたたくのはウエスターレン。


静かに佇んでいるイザマーレに、リリエルが問いかける

「閣下…?本当は寂しいのでは?

ダイヤ様と、本当のお別れですものね」


「いや?全然、そんなことないぞ」

そんなリリエルの髪を撫で、微笑み返すイザマーレ

「吾輩は、誰かさんの愛だけで満足だからな」


そんなやり取りを聞きつけたセルダとバサラ

「ヒューヒュー♪お熱いね。

よかったら、抜け出してもいいよ♪

邪魔なウエスターレンは俺らに任せな(笑)」


「お前らなあ(怒)」

苛立つそぶりを見せるウエスターレン。


「もう!そんなことしないですぅっ?」

あわてて否定しようとしたリリエルを抱き上げるイザマーレ。


「お前らに言われるまでもない。行くぞ、リリエル♪」

瞬間移動で立ち去る。プライベートルームへ……





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