遥かなるいにしえ……
イザマーレが魔年齢3歳の頃
言霊を使い、操り歌にして遊んでいた。
草花は一様に輝き、震わせながら枯れていく
そんな中、微動だにせず咲き続ける一輪の花があった。
イザマーレはその花を気に入り、屋敷に持ち帰った
「お前、吾輩の声が怖くないのか?」
花は答えた
「あまりにも美しい声なので、聞き惚れていたのです……」
イザマーレは嬉しくなり、
「そうか。お前にも教えてやろうか」
花は喜び、時には一緒に歌いながら
多くの時を過ごしていた。
花はいつも、イザマーレを見ていた。
とてつもない魔力を持ち、魅力溢れた悪魔なのに、
いつも孤独を抱えて闘い続ける彼を、
いつの間にか愛するようになっていた
やがて、イザマーレはウエスターレンと恋に落ちるが
言霊の影響を恐れるがあまり、本音を言えず
悩み苦しむ日々。
「せめてお前が花ではなく、女だったらな。
代わりに慰めてもらっただろう。
だか、花のままでも構わない。
リリ。お前が女の姿になったら、
愛さずにはいられないだろうからな……」
花も、同じ気持ちだった。
この孤独な悪魔を癒し、
抱きしめられる身体があったなら……
また別の日
イザマーレは珍しく、かなり酔いつぶれていた
何も語らないが、抱えたストレスをどうにか
発散させたかったのだろう。
涙を流していた。
その涙が、花弁に落ちた
花は強く願った
今、この悪魔を慰められる身体になりたい
…………
イザマーレにそっと手を触れ、抱きしめる影
酔いつぶれていたイザマーレは目を覚まし、驚く
「…まさか、お前は……」
微笑む彼女。
「名前をくださいますか?閣下……」
「リリの生まれ変わりなら……Lilyel。どうだ?」
「嬉しい。Lilyelはいつまでも、閣下のお傍に……」
イザマーレはLilyelを抱きしめ、キスをした
そのまま愛し合い、妻として寄り添うようになった
………
「閣下、今年も綺麗に咲きましたよ♪」
色とりどりに咲く、チューリップの花を前に
微笑むリリエル。
「そうだな、綺麗だな。」
イザマーレも微笑み、寄り添う。
自分自身は百合なのだが、
一度も育てようとしないな………(笑)
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