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実は天界も・・・


見渡す限り、眩しい光ばかりで鬱陶しい ここは天界。神の世界。

そこに現れたのは…


「やあ、雷神界の皇太子。お待たせした」

「…すまなかったね、今回は無理なお願いしちゃって。」


「…いや、俺もおかしいと思ったのよ。

まさかアイツらが別れるはずなんかないって」

天使とは思えないくだけた口調で話し出すのは、大天使ミカエル。

「それを、何を勘違いしたのか、下っ端が先走って…」


人間界で、人間になりすまし、自身も音楽活動をしていた下っ端天使は、

ウエスターレンが人間と楽しそうに談笑し始めたのを目撃して憤慨した。

「なんだよ、あいつ!浮気か?!」

最低!お前なんか二度とあの方のそばに行けないようにしてやる!!


ウエスターレンのギターに記憶封印の術を施した事を知った全知全能の神ゼウスから、

これは好機と、二重三重の罠をしかけるように命じられたミカエルだった。


総攻撃までは実行したが

そのまま壊滅せよ、という命令については何とかはぐらかし、

ヤキモキしていたのだ。

(アイツらが揃ってなきゃ、引き分けにならないからな)


そこで、最初に先走った下っ端の天使に責任を負わせて、

確実にダンケルを狙うようにコントロールしたのはミカエル自身だった。

そして、その作戦の実行日を伝えたのはラァードルだったのだ。


「それであいつ。下っ端の処遇は雷神界に預けたのだ。

その判決を知らせに来たんだろ?」


「そうなんだ。…いや、実は結構いいリズム感してるのよ。

だからこのまま人間として釈放、吾輩の監視下に置くことにした。」



 

「承知した。あいつ、ダンケルにもよろしく伝えてくれ。

また、ドンパチしようぜってな。」


……魔界の森のお茶会で編成された音楽隊。

イザマーレが人間と楽しそうに談笑してる横で

涙を堪えている人間の姿があったのだ。


その姿に語りかけるラァードル。

「その気持ちがあるなら、しっかり務めろよ。ラミエル」




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