副大魔王は多忙だ。
大魔王陛下の諮問機関である枢密院、宮廷で行なわれる催事等々、
些細な雑事にまで目を配り、他にも最高魔軍666師団の総元帥を務め、
夢幻月詠として儀式も執り行う
常にダンケルに忠誠を誓い、そのすべての事に全力であたる
その職務をこなせるのは、イザマーレ以外には不可能とされる
ウエスターレンと暮らし始めてから、その大半を
屋敷内の執務室でリモートワークできるようになったものの、
完全な休暇が取れることなど稀だ。
それでも、リリエルとの時間をどうにか確保するため、
並ではない魔力を総動員させ、怒涛の勢いで膨大な仕事を捌いていく
情報局の長として、
イザマーレのスケジュール管理を担うウエスターレンも
そのことは最大限に考慮し、時には強権を発動させながら
各方面と調整を行う
人間界での一週間は、魔界ではたった一日……
その貴重な一日をどうにか勝ち取り
ようやくリリエルに会いに行けるのだ
まず、リリエルの元で人間界の警護任務を命じた
ダイヤを呼び寄せ、業務報告をさせる。
イザマーレ自身も、常にリリエルの動向は把握しているが
日常における些細な機微を細かく知ることができるのは
意外と役に立った
不貞腐れた様子のダイヤではあるが
時折見せる、リリエルへの気遣い。
不器用ながらも本気でリリエルを守ろうとする
そんなダイヤを、イザマーレも興味深く見ていた
「ご苦労だったな。たまの休みだ。お前もゆっくり、羽根を伸ばせ。」
ポンとダイヤの頭を撫で、リリエルの元へ向かうのだ
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