「遅くなった…で?どうだったのだ?」
イザマーレはベルデに聞いた
「あの子は昔から親に厳しく育てられ全ての事を制限されていた。
自分の意見は言えないし父親の権力で過ごしていたらしい。
そのせいで成人しても周りの目を気にしすぎるところがある。
一人暮らしを始めたら心の底にある感情が弾けたんだろうね…
可哀想と言えば可哀想。仕事で上手く行かなければ
バーテンダーに通い詰め、話を聴いてもらってストレス解消している毎日…
リリエルちゃんも、ダイヤちゃんも
心配して話を聴いたりしたけど…
彼女には気持ちが伝わらなかったようだ。」
「…ほぅ…」
「それでね、僕も彼女のこと、調べてみたよ」
魔水晶をかざしながらベルデは続ける。
「どうやら、天邪鬼に取り憑かれてるね」
「…ふん、なるほどな。そんな事だろうとは思ったが」
イザマーレは人間界にいるリリエルの様子を眺めながら
なお怒りがおさまらないようだ。
「天邪鬼ってあれだろ?人間のネガティブ思考を好物とし
そんな人間に取り付いて、他人への感謝の心を忘れさせ
闇に導くという……」
イザマーレの様子が心配で訪れていたバサラが言う。
「ふん、取り憑かれる人間の方が悪いのだ。
一度ならず何度も、救いの手を差し伸べたにも関わらずな。
そもそも、自分の力で立ち上がろうという気概の無いやつなど
吾輩の最も忌み嫌う類だな。おまけにリリエルを泣かせるとは
いい度胸じゃないか。そんなに闇がお好みなら、その無限地獄を
好きなだけ味合わせてやろう。出口はあるが、見つけられんだろうな」
厳しい目付きで切り捨てるイザマーレ。
「………すっげー私情だな(汗)」
「…知らなかったのか?バサラ。イザマーレの残虐性を封じ込めているのは
リリエルなんだぞ。彼女が笑顔でいることが
イザマーレの理性を保持させる最後の砦なんだ。
それが失われたら、こんな結果になる事くらい分かるだろ?」
ウエスターレンはやや諦め気味に伝える
「((((;゚Д゚))))))) 知らなかった。あの子を泣かせちゃいけないんだね」
「…これまでも、何度も同じように処罰された人間が多数いる。
皆、ロクな人生を送ってないな」
「ひえええええ」
だが……
そうは言ったが、同時にイザマーレは考えた..
確か…ダイヤがダンケルに話した時、ダンケルは構わず見捨てろと言った。
冷酷な大魔王が処罰せず彼女の為にそっとしておけと…
いつか気が付くと…言っていたのを思い出していた。
そもそも家庭環境など、リリエルとは比べ物にならない。
それでもあいつは、必ず立ち上がり続けてきた。
今回の件でも、自分で出口を見つけようとするあまり、
吾輩に頼ろうとしないのだがな。
であれば、やはりリリエルの判断に委ねてみるのも悪くない。
「ウエスターレン!リリエルの元に行ってくる!帰るのは明日だ」
「はいはい。行ってらっしゃい」
ため息をついて、見送るウエスターレン。
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