「リリエル」
「……」
とめどなく繰り返されていた旋律が止まる
「よく頑張ったな。もうそろそろ、良いだろう?
後は、吾輩に任せろ♪」
イザマーレの声に振り向くが、
まだ自我を失ったままのリリエルの目に表情はない
「いくら吾輩との思い出だとしても、
同じ曲ばかりでは飽きるだろ?
そろそろ、次の曲にしないか?特別大サービス。
吾輩も付き合ってやるぞ♪」
「……!」
「歌えないとは言わせないぞ。
次の曲こそ、お前とはじめて紡ぎあげた曲。
お前からの記念すべき最初のおねだりだったな♪」
徐々に光が蘇るリリエルの目に涙がこみ上げ、
嬉しそうな表情でゆっくりと頷く
そして、イザマーレとリリエル、2魔による新しい旋律が始まる
それは…
イザマーレの深い孤独を理解したリリエルが、
枯れた花々を浄化させる為、
もう一曲、一緒に歌ってほしいと懇願した曲
生き抜くための力を鼓舞する、いのちの賛歌
それにより、始まりの場所で息苦しく喘いでいた草木が命を吹き返し
イザマーレが消滅させた魔界中の命をも甦らせたのだ
2曲目の旋律が終わり、
リリエルを抱きしめ、髪を撫でるイザマーレ
「……」
イザマーレのぬくもりにホッとしながら、
ある事に想いを馳せるリリエル
「なんだ?リリエル。言いたいことがあるなら、ハッキリと伝えろ」
予想通りのリリエルの反応を微笑ましく思いながら、
イザマーレはわざと問いかける
「……あの…///////」
恥ずかしそうに、俯いて呟くリリエル
その時、ウエスターレンがギターを奏で始める
「姫の所望なら仕方ない。俺たちの歴史の始まりの曲だな。」
「…はい🎵 お願いします💕」
その音色に嬉しくなり、ようやく笑顔になるリリエル
やがて、光、紅蓮、花…3魔による演奏も終わった
ようやく気が済んで、満足した表情を浮かべるリリエル
イザマーレはリリエルの髪を撫でながら、現場の状況を確認する
「吾輩に任せろ、とは言ったが……」
「天使はとっくに消滅してるし、部屋自体はほとんど破損もしてないな。
リリエル、案外と大人しかったな。これだけお膳立てしてやったのに。」
ウエスターレンも各所を点検しながら笑いかける
「だって…このお部屋、素敵じゃないですか。
壊すの申し訳ないですし…これでも気を使ったんですよ!
怒りすぎたらまた…閣下にご迷惑になるし…///」
恥ずかしそうに俯きがちだが、嬉しそうに話すリリエル
「はいはい。お気遣い頂けて光栄だ。
リリエル、腹減らないか?何か食べに行くか?」
イザマーレの思いがけない提案に目を輝かせるリリエル
「わーい(≧∇≦) もうお腹ペコペコですぅ🎵」
(そりゃ、あれだけ歌えばな…(笑))
ウエスターレンと目配せしながら、
リリエルを髪に座らせるイザマーレ
「大丈夫だ。もう心配いらない。
お前はいつも通り、笑顔でそこに居ろ。良いな♪」
イザマーレの髪に乗せられ、小屋の外に出た途端、
待ち続けていたLily‘sが駆け寄る
「リリエルちゃん……良かった(涙)」
「ほんとに……凄いのは分かってるんだけどさあ(怒)」
バナトラとメーラは泣き笑いになりながら抱きついてくる
「みんな、お待たせしてごめんね。お腹空いちゃったよね?
美味しいもの食べて、帰ろう!」
「行く!!!リリエル様の姿見たら、安心してお腹減ったわ(笑)」
「ウフフ♪プルーニャ様…私もう、お腹ぺったんこだよ(笑)
代官もありがとうございます!ハルミちゃんも、お迎えありがとね♪」
「リリエルちゃん、おかえり。いや、それにしても……💦
プルーニャ?あーいう時に、石じゃ駄目だろ?
これから少しずつ、護身術も教えてやるじゃんね♪」
セルダに突っ込まれ、真っ赤になって笑うプルーニャ…
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