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恋人のように


人間界のリリエルの部屋で愛し合った日から、

しばらくの間、リリエルがイザマーレを呼ぶことはなかった


折れかけた心を立て直し、生活を整え、

今いる幸せを守り通そうと、必死に闘い続けていた


そんなリリエルが、再び涙を流し、

無意識にイザマーレを呼ぶようになったのは

娘のリリが思春期を迎えた頃だった


各会場に足を運んでは、

一人泣き続けるリリエルの姿

その都度、言霊を与え、励まし続けた


自身がオフになると、毎回リリエルの職場に足を運び

「アーティストとファン」を装いながら

多くの時間を共にした


この頃になると、

イザマーレの来訪を心待ちにするようになり

会いに行くたび、昔と変わらない笑顔を見せるリリエル


本当の恋人のようにデートをして

魔界の屋敷に連れ込み、愛し合うようになった

プライベートルームのベッドで、何度も肌を重ねる

屋敷に連れ帰る度、他人行儀になるリリエルに

伝えたい言葉を隠して…


(遠慮はいらない。お前のいるべき場所は、ここなのだ…)



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