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悪魔の輝石


静かになった屋敷で2悪魔だけが見つめ合っている。

イザマーレの髪がさらりと垂れ下がる。

光の悪魔のくるりと巻かれた愛くるしい御髪に、

ずっと腰かけていたリリエルがそっとその場を離れる。


イザマーレの黒い口唇にウエスターレンの赤い口唇が重なる。


最初は何も考えられなかった。

言葉を交わす余裕もなく、ただひたすらお互いを求め合い、

貪り合うだけ…

イザマーレのサラサラと柔らかな金の美しい髪を撫でながら

熱い口づけを交わし合う2魔。

涙を浮かべながら必死に応えようとするこいつが愛おしい。

「…んっ、んふっ、……」

聞こえるのはお互いの息遣いだけ…



ようやく少し落ち着いて、お互いを見つめ合えたのは、

一度目を終えて、なお離れがたく口唇を啄み始めた頃だった。


「…ウエスターレン」

自分を呼ぶ声に、ウエスターレンはようやく口づけをやめ、見下ろした。

「もう、二度と吾輩から離れるな」

「!!……今夜は寝かせねーぞ。覚悟しろ」

「…吾輩で、いいのか」

「当たり前だ!もう二度と離れない。

お願いだ、イザマーレ。今はただ、お前を抱きたい…っ」


そしてまた、深い口づけを交わし始める…

口を塞がれたイザマーレは、もう言霊を発せられない。

サラリとおろされた髪は、魔力が完全に消えた証拠。




 

誰よりも自分の魔力の強さを自覚し、

であるが為に、自分の本心をどこかに預け、

己を律し続けるイザマーレにとって、

全てを解放できる相手。それがウエスターレンなのだ。


「…レンっ、レン!!」

何度も自分を探し求め、叫ぶこいつが愛おしい



二戦目を終えて、さすがにまどろみ始めたイザマーレ

だが、ウエスターレンの手は止まらない

「イザマーレ。お前は俺をずっと待っていたと言ったな。

同じ言葉を返してやる。そして、これからお前を護るのはこの俺だ。

他の誰にも譲らない」

「!」


いよいよ堪えきれなくなったイザマーレ。真っ赤な顔で泣き始める。

「ウエスターレン…」

「えっ、おい!泣くなよ…」

涙で言葉が詰まり、声にできない。

思わず抱きしめるウエスターレン。

「…ったく。お前は明日も人間界で生放送だよな?

少しは控えようと我慢してるってのに、煽るな!」

「…レン」

もう一度名前を呼ぶイザマーレの声に、再び愛し合う2魔。




 

彼らが順調に三戦目している頃、

ダンケルに連れ出されたセルダ・バサラの2魔は猫の居る酒場に… 

かなりの酒をあおって猫じゃらしをにゃんこの前でちらつかさせ

ため息をつくセルダ


「あの2魔には勝てないよな…バサラ」


バサラも目がすわりつつ酒をあおってグラスをテーブルに叩き付けるように置く


「いつか俺の手に…」


バサラの言葉にセルダは鼻で笑って、バサラの前に猫じゃらしを突きつける


「ムリムリ(ヾノ・ω・`)叶いっこないって‼️」

ケラケラ笑うセルダにため息ついて、バサラはグラスを持ち上げ見つめながら呟く


「やっぱりお似合いだな。あの2魔は…」


バサラの言葉に何も答えず、セルダはグラスを空にした…



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