top of page

愛されたいと愛


手紙をきっかけに、更にエスカレートしていくメルサ。


また新たな嫌がらせをしようと、

とある信者の住む自宅に向かっていた。


「メルサさん」

後ろから声が掛かり、彼女は振り返った。



「こんにちは。ダイヤと言います。

お話したいのですが、お時間よろしいですか?」

ダイヤは微笑んで言った。


新参信者でもダイヤの事は知っていたのだろう。

彼女自身も聞きたい事があったのか直ぐに了承した。

ダイヤは、構成員もたまに使うことのある

プエブロドラドの施設に案内し、部屋に入れた。


「メルサさん。あなた参謀の事がお好きのようですね?」

ダイヤは穏やかに話し始めた


「はい!専属ペットとして髪に乗せて貰うように色々考えてます。

1日も早く乗りたいんです!

いつ迎えに来ていただけるのかと毎日待っているんです。」


「…毎日…ですか…。もし、参謀が違う方を専属ペットにされたら?

貴女はどうしますか?」


「いや。それはあり得ません」


断言をするメルサにダイヤは苦笑いをする


「…髪に乗せて貰うというのは、そう簡単な話ではないですよ?」


「…貴女だって、閣下に乗せて貰った事があるって聞いてます!

それに最近、閣下が村に来た時に、小柄な女性を乗せてたのを見ました。

脚の細さなら負けません!私にだってあり得る話でしょ?」

メルサはイラッとしながら言った



 

ダイヤはメルサを見て言った


「……閣下がお乗せになった女性は、閣下のお妃様です。

それに私の事をどう聞いたのか分かりませんが、

確かに昔、髪には乗せて頂いてました。

お妃様が私の事を気に入ってくださり、

お妃様から閣下にお願いして頂けたから、髪に乗せて貰えました。

普通ならあり得ない事ですよ?

後から乗せて頂いたのにも関わらず、勘違いして

少しでも多く一緒に居たい。離れたくないと、

暴走し突っ走ったのが私です。

”愛されたい”という気持ちに囚われて、

自分が見えなくなってしまった……

そんな私でさえ見放さず、救いの手を差し伸べてくださりました。

今の私があるのは、閣下とリリエル様のおかげです。」


「リリエル様、というのですね。あの女性……」


「貴女が書いた手紙を読ませて頂きました」

ダイヤは手紙を机に置いた


「”参謀の恋人は私。そして髪に乗るのは私”…お気持ちは分かります。

でも、お選びになる権利があるのは参謀だ、という事を分かってください。

もちろん、構成員の皆様を好きになるのは自由です。でもそれによって

大事な構成員様まで困らせてしまうのは間違っています。

同じ信者同士なのに嫌がらせをしたりするのもいかがなものかと…

あなたが嫌な思いをさせた信者も、

参謀にとって大事な人達なんだということを

忘れずにいてくださいね。」


「!……」


「もしこのことが閣下のお耳に入ったら、貴女は後戻り出来ません。

この村に居れるどころか即罰せられます。」


「!」

メルサは愕然と聞いていた




 

「今からでも遅くありません。この手紙を出した方々に罪を詫びて、

貴女の信頼を取り戻してください。

同じ過ちを繰り返さないよう願っています」


「……許して貰えるのでしょうか…」

メルサは震えながら呟く


「……信頼を取り戻すのは簡単ではありません。

時間もかかります。でも諦めずに進んで行ってください」

そう言って、ダイヤは立ち去った。


それから彼女は心を入れ替え、

手紙を出した信者に詫びを入れ謝った。

信頼を回復するには時間が掛かったようだが、

少しずつ改善もしていた



next                         目録に戻る


閲覧数:1回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サクラ咲いて

プエブロドラドに桜が見事に咲き誇った… 構成員が信者の為に植えた桜の木だった。 近日、桜の木付近で 最高魔軍によるミサが出来るように、舞台設置が予定されていた。 その関係で、今は関係者しか入れないように結界が張られていた。...

花の逆鱗

天気の良い日、プエブロドラドにベルデとラァードルが降臨した。 最近村に人気のレストランが出来たと聞き付け、 楽しみにしていたラァードルがベルデを誘い出したのだ。 2名を見るなり、一人の男性の信者が嬉しそうにやって来た。 「僕、メドレーとか大好きなんですよ!...

褒美の苺🍓

何とか解決に導いた頃、ダイヤはウエスターレンに呼ばれた 「解決出来たようだな」 ウエスターレンは煙草を吸いながら言った 「素直に聞いてくれたので解決出来ました」 ダイヤは笑顔で言った 「例の信者と話してるところをモニターで見ていた。...

Comments


bottom of page