top of page

愛の居場所


深紅の薔薇…

ダイヤはずっとその場に立って考えていた

自分探しのためとはいえ魔界から逃げ出した…後悔している。

もう戻る事すら許されない事態かも…

そう思うと涙が流れてくる…


「ダイヤ様…」


振り返るとリリエルが微笑んで立っていた

「…リリエル様…」

言った途端に更にぶわっと涙が溢れた


「ダイヤ様…心配しましたよ!」

リリエルはダイヤを抱きしめた。

ダイヤはリリエルの温もりにホッとして大泣きしていた


「リリエル様…申し…訳ありません…私…勝手に…」


慰めるようにリリエルは背中をポンポン叩いた

「陛下も心配されてますよ…ね?」




 

リリエルの言葉に顔を上げた…

リリエルの視線の先にはイザマーレと…

その横にダンケルが立っていたのだ


「…陛下…」

ダイヤは呟いた


リリエルは背中を優しく押してくれた。

ダンケルもダイヤの近くに来て微笑んだ


「私から逃げられると思うのか?

お前がどこに逃げようが必ず連れ戻す…」

ダイヤを見つめダンケルは言った


「…陛下…黙って人間界へ来て…申し訳ありませんでした…」

泣きながら頭を下げた…



泣いてるダイヤが愛しくダンケルはダイヤを抱きしめていた


「…陛下…ごめんなさい…」

メショメショ泣いてダイヤも抱きついた


その様子を見ていたイザマーレはため息を付いた

「全く、世話の焼ける奴だな」


イザマーレの言葉に裕子はクスクス笑っていた

「閣下、リリエル様…あんな奴だけど良いところもあるので…」


リリエルは微笑んだが

イザマーレは、やや思案顔だった


(これからまたリリエルに、重荷を背負わせねばならないからな…)





 

ダンケルとダイヤはイザマーレたちの近くに来た


「…ご迷惑おかけしました…」

ダイヤはイザマーレに頭を下げ言った。



「貴方様がなっちゃんの旦那様ですか?…綺麗…」

裕子は驚きながら言った。

あまりにも美形で想像していた悪魔と掛け離れていたからだった


「ダイヤが世話になったな。礼を言うぞ」

ダンケルは微笑んで言った


「いいえ…またこっちに戻って来ないように

捕まえといてください」

裕子は微笑んで言った

「もちろんだ。離しはしないから心配するな」

ダンケルも微笑んだ


「さぁ魔界に帰りましょ!ダイヤ様!」

リリエルが言うとダイヤは裕子に抱きついた


「本当に有難う…もう会えないかもしれないけど…元気で…」

「しっかり魔界で生きていきな!」

裕子も涙を見せながら言った。4名は裕子の前から姿を消した



魔界に帰った後、ダイヤは散々イザマーレに叱られ

へこみながら魔宮殿に帰って来た。





 

夜…


ダンケルは部屋で公務の書類を纏めていた。

やっと纏め終わった頃、ダイヤが枕を持ってやって来たのだ



「おや?どうした?」

ダンケルは顔を上げて言った


「…眠れないので一緒に寝たいな…と思って…」

ダイヤは照れながら言う


「…」

目を細めダイヤを見つめる

「…良いですか?陛下…」


「…イザマーレに叱られて寝れないのか?」

ダンケルは微笑んだ


「…だって…1名で寝ると…またあの悪夢が…」

裕子の自宅で寝てる時の悪夢を話した


「陛下までリリエル様を好きにならないで~(涙)!!」

ダイヤは枕を持って半べそをかきながら言った


「何を言っておるのだ?想像しただけで、怖いわ!!」

ダンケルは引きつって言ったが…ふと気が付いた


(…確か…迎えに行った時…

イザマーレが何やら台本を持ってたな…なるほどな!

これはチャンス…言わないでおこう…)


笑いを堪えながらダイヤを見ていた…




 

人間界…


裕子が仕事から帰って部屋に入ると

机の上に深紅の薔薇の花束と黒い封筒が置いてあった


「!!!!誰か入った?」

焦って周りを見たが…ふと封筒に目を向けると


『from DANKEL 』

と掛かれていた。


もしかしたら…裕子は封を開けて読んだ


『ダイヤが世話になった。礼を言うぞ


良い友人が居てあいつは幸せだな…


またいつか会おう…』


「…なっちゃんも幸せだわ…あんな美形の旦那持って…」


裕子は微笑みながら深紅の薔薇の花束を見つめていた…




Fin.




閲覧数:4回0件のコメント

最新記事

すべて表示

花と光

リリエルとイザマーレの2魔がデュエットで歌い上げる その旋律と言霊が直接ダイヤの脳裏に届けられる その旋律の美しさに圧倒され、聴き惚れている裕子 ダイヤも頑固な心を揺り動かされ、改めて素直になって 自分自身と向き合う next 目録に戻る

素敵な観客

リリとリナと別れ、ダイヤたちは再び美術館を見学していた。 「…え!?」 裕子は立ち止まって外を見て驚いている顔をしていた 「あれ?ゆうちゃん?」 ダイヤは振り返り不思議そうに聞いた 「…あぁ…何でもない…あのさ…なっちゃん、 少し各自、自由時間にしようよ」...

仕組んだのは

春色の陽気に誘われて 舞い込んだような、娘たち ちょっぴり照れてしまうけど やっぱりかわいい 美術館のベンチで雨宿りしている リリエルそっくりの子どもたち…… 心に春が来た日は、 いつもその笑顔を見せてね 愛しているから… 「…吾輩も久しぶりに見たな。 たしか名前は…」...

Comments


bottom of page