魔宮殿にいるダンケルの部屋に、ダイヤは泣きながらたどり着いた。
ダンケルが書類に目を通している時にいきなりダイヤが現れた
泣き崩れながら座り込んでいるのをチラッっと見て
再び書類に目を通しながら聞いた
「…こんな時間にどうしたのだ?」
「…陛下…あの…陛下…」
泣いていて言葉が続かない。
ダンケルはダイヤが落ち着くのを待っていた。何も言わずに…
本来ならイザマーレの傍にいるのに、あえてこの部屋に来たのは
何かしらの事があったのだろうとダンケルも感づいた。
少し時間が経つとやっとダイヤも落ち着いてきたのでダンケルは改めて聞いた
「何かあったのか?」
「…陛下…私…最低な女に成り下がりました…リリエル様がいるのに…
閣下と離れたくない…閣下に愛されてる時はリリエル様が泣いてるのに…
後から来た私の方が身を引かなければならないのに…
しかもリリエル様が愛されてる時は妬ましく思って…
最低です…それでも閣下は、私を愛してくださるんです…」
「……」
「…耐えきれないから…閣下に抹殺してくれと頼んだのですが…
してくれません…陛下の手で馬鹿な女を処分してください…」
ダンケルはため息をついて話を聞いていた
「……ダイヤ…勘違いしていないか?
イザマーレは副大魔王だぞ?悪魔だぞ?人間との考え方が違うのは当たり前だ…
それに抹殺なんかするわけなかろう?お前が地獄で彷徨っていた幼き頃に、
お前を助けてやってくれと言ってきたのはイザマーレなのだ。
余程な事がない限り、抹殺などは私もしない」
「!」
ダイヤは俯いたまま聞いていた
「…イザマーレが何故、リリエルを髪に座らせて大切にするのか…
それはリリエルがイザマーレの妻だったからだ。
歴史の勉強した時に本に載っていただろ?
先代が消滅する寸前、ゼウスの襲撃で
ヨッツンハイムにイザマーレが囚われた時のな」
ダイヤは驚き、顔を上げダンケルを見つめた
「……妻…?」
「そうだ。事情があり、ゼウスの手に落ちて命を奪われたのだ。
イザマーレとの記憶を全て消されたまま、
人間として生まれ変わったのがリリエルだ。
やっと人間界で見つけたリリエルを大切にし愛するのは当然の話だ。
そして、幼き頃に助けたダイヤ。お前も
イザマーレにとって大切な存在なのだぞ?」
「……」
「何を迷っている?イザマーレとリリエルを守るのでは無かったのか?
お前がグダグダになってどうする。イザマーレに忠誠を誓ったのだろ?
今日の実践で上の空だったのはこの事が原因だな?
そんな気持ちでは大事な者も守れないぞ…」
ダンケルは優しく語りダイヤを見た
「…はい…」
ダイヤが再び俯いた途端に扉が開いた
「何か用か?ダンケル。来てやったぞ」
いつの間にかダンケルはウエスターレンを呼んでいた
「待ってたぞ、ウエスターレン」
ダンケルはニコニコして言った。
ウエスターレンは部屋の中央にダイヤが座り込んでるのを見て、
大体の予想はついた。
…煙草を吸い冗談混じりにニカッと笑う。
「泣かせられたか、ダンケルに」
「ダイヤ。後はウエスターレンに聞いて貰え。何かとアドバイスしてくれる。
ウエスターレン頼んだぞ。隣の部屋使うがいい…ダイヤ立て。話を聞いて貰え」
ダンケルは言ってダイヤを促した
ダイヤは立ち上がり、ウエスターレンの後をついていった
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