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新たな出会い


その日、新任で学園を訪れたばかりのリリエルは

初めての校舎で迷子になってしまい、

焦って途方に暮れていた


「……ここも違う…さっきと違って凄く広いお部屋……」


あてもなく彷徨い歩くうちに、

とてつもなく重厚そうな部屋の前に来てしまっていた


(えっと…ど、どうしよう(^_^;))


その時だった


「あれ、お前は……どうしたのだ?こんな所で」


「!………あ……/////」


後ろから声をかけられ、振り向いたリリエルは

その声の正体に気づいて顔を真っ赤にさせた




 

「? 今日から新しく来たんだろ?」


「…あ、あっ…あの、職員室に戻りたいんですけど

迷子になってしまって……//////」


恥ずかしそうに俯くリリエル


その様子に、思わずドキッとするイザマーレ


「そうか。初めてなら迷子になるのも仕方ないな(笑)

吾輩はイザマーレだ。副理事長をしている。よろしくな。」


「…こ、こちらこそ!わ、私はリリエルと言います。

お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした!」


リリエルは深くお辞儀をして、慌ててその場を後にしようとした


「(笑)迷子なのに、どうやって戻るつもりだ?

まあいい。どのみち今日はもう、仕事は終わりだろ?

家まで送ってやるから、待ってろ」


イザマーレは笑いながら、

リリエルを副理事長室の中に招き入れた




 

リリエルを送って行った先は、元老院の裏庭だった


「すみませんでした。どうもありがとうございます。

ここで、大丈夫です!」


「?…ちゃんと家まで送るぞ?」

不思議そうにリリエルを見るイザマーレ


「…実は私は、ここに咲いている花です。

いつも憧れていたイザマーレ様が、あの学園の副理事長に

就任されたと聞いて、どうしてもお傍にいたくて…///」


「! それで女の姿に化身した、ということか?」


驚くイザマーレに、リリエルは恥ずかしそうに微笑んだ

そして、自分の秘密を打ち明けた




 

「ふふっ 私自身の力だけでは、時間制限があるので

夜になると花に戻ってしまうんです(*^^*)

それでも、どうにかあの学園でお仕事させて貰えるように

魔界図書館でたくさんお勉強しました。

イザマーレ様にお会い出来て、お話も出来て

帰りまでご一緒出来て、凄く嬉しいです♪」


「…お前だけでは、と言ったな?何か条件が合えば

ずっと女でいられるのか?」


「//////あ、はい…で、でもそれは、内緒…」


言いかけて固まるリリエル

気がついたら、イザマーレの腕の中で抱きしめられていた


「…あ、あのっ…//////」


「吾輩に隠し事が出来ると思うな。

好きな相手から愛されれば。そう、お前の心が教えてくれたぞ」


「!……/////」


「出会ってばかりでは信用されないだろうから

これから毎日、迎えに来てやる。どうせ

学園までの道も迷子になるんだろ?」

ニヤッと笑うイザマーレ


真っ赤になって、ボーッとしてしまうリリエル

可愛くなり、優しく髪を撫でてその場を立ち去ったイザマーレ


副理事長室の前で、初めてリリエルと会話した時から

一目惚れをしていたのだ




 

屋敷に戻った後、ウエスターレンの言葉に驚いた


「ああ、あの可愛い子な。なんかすっげー、そそられるよな。

学園中の悪魔があの子のこと気に入って、狙ってるようだぞ」


マジか…初日にして既に……

これは、悠長に構えてもいられないな……


イザマーレの恋心に火がついた瞬間だった





 

リリエルと出会った日は、ちょうど週末だった

翌朝、イザマーレはリリエルと別れた場所に再び訪れた

学園は休みだが、何故かすぐ会いたくて仕方なかったのだ

花に戻ったリリエルの姿も見てみたい、そう思いながら…


「…あ、イザマーレ様♪」

予想に反して、昨日と何も変わらず

微笑みを浮かべてリリエルはそこに居た


「…リリエル、おはよう」

抱き寄せたイザマーレは、その身体の冷たさに驚いた


「…冷えてるな」

髪を撫でて、見つめるイザマーレ

(/////あ…あったかい……嬉しい…)


聞こえてくるリリエルの心の声に、更に驚く




 

「まさか…一晩中、その姿でここに居たのか?」


「あ、えっと…花に戻ろうとしたんですが…

何故か戻れなくて…(^_^;) 季節が春で良かったです(笑)」


「!…ば、馬鹿!それなら何故すぐ吾輩の所に来ないのだ!

すまない、吾輩のせいだな。昨日、お前を抱きしめたから…」


イザマーレは慌ててリリエルを屋敷に連れ帰った


プライベートルーム内にあるシャワールームにリリエルを押し込み

リリエルの着ていた服のクリーニングを使用魔に指示し、

代わりの服の手配を命じた。

とりあえず今は応急処置として、

イザマーレのバスローブを貸してやり

温かい飲み物を持ってくるよう、言づけた。


「…かしこまりました。

新しいご衣裳の手配は、なるべくゆっくりいたしますね♪」


事情を察した使用魔ランソフは、

含み笑いをしながらイザマーレに応じた




 

数分後、シャワールームからリリエルが出てきた


イザマーレも小柄だが、さらに小柄なリリエル

バスローブもブカブカで、裾が床につきそうだ


大きめの袖にくるまれて、

真っ赤な顔で恥ずかしそうにするリリエルに

湧き上がる食欲を必死で抑えるイザマーレ


「(笑)ブカブカだな。ちゃんと温まったか?

着替えが来るまで、ここにいればいい。」


「///はい♪すみません、ご迷惑をおかけしてしまって…

ありがとうございます。何から何まで…」


ソファーにちょこんと座り、

イザマーレが手配したホットコーヒーを飲む


(…すごーい。本当に王子様みた~い☆彡)



リリエルから聞こえてくる心の声に、なぜか癒されるイザマーレ


マグカップを持つ小さな手

フーフー冷ましながら、少しずつ飲む口唇…

大きめのバスローブから覗く、柔肌…


それらすべてに魅せられ、目が離せずにいた




 

「ふう…あったかいです。生き返りました(^-^;」


「…良かったな。お前、あんな場所に居続けたら危険だぞ。

どんだけ無防備なんだ?」


「あ…そうですよね…でもあの、私は花でしたから

家族なんていないし、帰れる場所もなくて…」


困ったように照れ笑いして呟くリリエル



「このまま、ここに住まないか?」


「…!…え////////」


驚いて、イザマーレを見上げるリリエル


イザマーレはリリエルのすぐ隣に座り、見つめ返す


「お前が花に戻らなかったのは、

好きな相手との恋が成就した証拠。そうだろ?

お前が望むなら、ずっと居てくれて構わないよ」


「////////」


「出会ったばかりだが、

吾輩の愛はお前の魔法が証明している

好きだよ、リリエル…」


「////…わ、私のほうが、

ずっとずっと好きです…イザマーレ様…」


「…知ってる」


イザマーレはフッと微笑み、そっと口づけを交わした


真っ赤な顔で震えるリリエルが愛おしく、

そのまま口唇を重ね、押し倒した…




 

夜通し、愛し合った2魔…


翌朝、リビングでウエスターレンに紹介される

ウエスターレンもニヤッと笑いながら

リリエルを受け入れた


「よろしくお願いします。

お2魔様の事は、よく存じております。

あの裏庭で、よく一緒に歌とギターを

合わせていらっしゃいましたよね♪

愛し合うお2魔様のお傍にいられるなんて、夢みたいです♪

私とも是非、仲良くしてくださいね」




 

イザマーレと一緒に学園まで出勤したリリエル。

職員室に入ると、ミルが話しかけてきた


「あっ、リリエル先生。

今日から貴女のお部屋はここではありません。

ご案内します。どうぞ」




連れて行かれたのは、週末にイザマーレと出会った場所。

副理事長室の隣の部屋だった。


「えっと…あの…?」

戸惑うリリエル


「迷子になるのは困りますから、送り迎えも含め、

副理事長にお任せするようにと指示を受けております。

今後の事は、副理事長からご説明があるかと♪」


ニコッと微笑み、ミルはお辞儀をして立ち去った




 

早速、副理事長室を訪れたリリエル。


「失礼します。副理事長、あの…」


「リリエル、ご苦労。これからは、隣の部屋を自由に使え。

吾輩の公設秘書でも良いかと思ったが、

お前の努力を無駄にしたくないのでな

校長として、一緒に学園を盛り上げていこう。どうだ?」


重厚なデスクに座り、厳かなオーラたっぷりのイザマーレは

リリエルを見つめ、静かに伝える


「…!で、でも、いくらなんでも、新米の私が校長なんて…」

慌てて狼狽えるリリエル


「心配いらない。先ごろ行われた、職員採用試験だが

お前は首席だった。しかも、歴代最高点で、だ。

それがまさか魔界図書館での独学だなんて、思わなかったぞ(笑)

そして…」


イザマーレはリリエルを抱きしめる


「この学園で、生徒たちに教え込みたいのは、

我々悪魔がどうしても忘れがちな愛だ。

それを教えられるのは、お前以外にいない。そうではないか?」


見上げるリリエルに微笑み、そのまま口唇を重ねる…


副理事長と校長の2魔三脚システムが出来上がった瞬間だった
















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