それぞれの思惑を胸に、時空の旅を終え
魔界に戻るや否や、イザマーレの屋敷に大集結する彼ら
急な事で、多少面食らうが、にこやかに出迎えるイザマーレたち。
「やあ!イザマーレ君。久しぶりだな!!
息子に聞いたよ。この度はおめでとう♪♪」
豪快に両手を広げて挨拶するのは雷神帝
「わざわざ恐れ入ります。ありがとうございます。
雷神殿も、お元気そうで何よりです」
威風堂々と礼儀正しく応対するのは、我らが副大魔王
「リリエルちゃん!早速で悪いんだけど、
ちょっとスプネリアをどうにかしてくれないかな」
リリエルを見るなり、強く迫るラァードル
「(苦笑)もう、殿下ったら…
分かりました。スプネリア様、どうぞこちらに♪」
ラァードルに呆れながら、微笑んでスプネリアを促すリリエル。
そんなリリエルの様子を、優しく見守るイザマーレ…
だが、その横で万感の思いで見つめる雷神帝に気がついた
「雷神殿?リリエルがどうかしましたか?」
不思議に思い、イザマーレが尋ねた
「…イザマーレ君。貴殿の奥方は、実に可憐だね。
まるで百合の花のように…」
「…」
「強い愛情に溢れ、そしてほんの少し…怖いだろ?(笑)」
「!」
雷神帝の思わせぶりな言い回しに、イザマーレは驚く
「なぜそれを?」
「ワハハハ!いや、驚かせてすまない。実はね…」
「!!!!!」
雷神帝の秘密の暴露に、さすがの副大魔王も驚いた
「…そうでしたか。今の私があるのは、リリエルのお陰です。
ラァードル、御母上にもよろしくお伝えしてくれ。」
薄っすらと涙を浮かべながら、微笑むイザマーレ
そんなイザマーレの様子を
にこやかに見つめるラァードルとベルデ
「意外と、世間て狭いもんだよね(笑)」
そこへ、ウエスターレンが口をはさむ
「おいイザマーレ。雷神殿のプエブロドラド往来については
ダンケルの許可がいる。だがまあ、特段問題はないだろう。
後は、ラァードル。お前次第だな♪」
「ああ~リリエルちゃん、よろしく頼むよ~~」
突然頼りなく、ソワソワし始めるラァードル。
その時、部屋から姿を現したリリエルに、全員の視線が注がれる
一瞬戸惑うが、すぐに微笑を浮かべ、イザマーレの横に立つ。
「ラァードル殿下、お待たせしました。
飛行船の中での出来事、そして雷神界でのやり取りなど
すべてスプネリア様から伺いました。」
「!ど、どうだった?」
慌てるラァードル
「スプネリア様は、間違いなく
ラァードル殿下を愛してらっしゃいます。
ただ…急激な環境の変化には、どうしても躊躇ってしまうもの…
少しだけ、時間は必要かと思います。
女にとって、結婚とはゴールではないのです。
その先も、幾多の困難を乗り越えていかなければならないもの
だからこそ、その出発の時は、
特別に綺麗に着飾って差し上げなければなりません。
スプネリア様の美しいウェディング姿が見れるよう、
これからも殿下、スプネリア様をお守りくださいませ。」
リリエルの言葉に、
ダイヤのドレス姿だけで
部屋を粉砕するほど怒り狂った理由が
ストンと胸に響くイザマーレとウエスターレン
そして、
「…分かった。これまでの時間を考えたら、
少し待つくらい、どうって事ないよ♪」
ラァードルも笑顔で胸を張る
すべて見守っていたLily‘sは
感激の涙を浮かべていた
「…リリエル様、さすが…(感涙)」
イザマーレに髪を撫でられ、微笑むリリエルにベルデが声をかける
「リリエルちゃん。今日は君にとって
すごく特別な日になりそうだよ」
「えっ?」
キョトンとするリリエルに、雷神帝が手を差し出す
「…こんにちは。お嬢様。」
「!ら…雷神殿!ようこそ魔界へ…」
さすがに面食らい、恐縮するリリエル
「実はね、お嬢様に会いたがっている者がもう一名いてね…
紹介させてもらえるかな?」
にっこり微笑む雷神帝
「?…はい、是非お願いします」
ベルデが魔鏡を取り出し、交信を始める
映し出されたのは、雷帝妃。
「!もしかして…ラァードル殿下のお母様ですか?
はじめまして!リリエルと申します」
リリエルの様子に涙を浮かべてみつめる雷帝妃。
「…美しく、大きく成長したわね。リリ…」
「!」
花時代の名を呼ばれ、驚くリリエル
「リリエル。お前の母御前だよ。」
イザマーレがリリエルの横に寄り添い、伝える
「!……////////」
あまりの事に涙を浮かべ、頷くしかできないリリエル
そんなリリエルを優しく抱きしめるイザマーレ
見届けた雷神帝は言葉を続けた
「小さな…本当に小さな種だったお前を
龍雲から蒔いたのは私だ。
見事に根付き、イザマーレ君に愛され、
美しく咲き誇るお前は、私にとっても誇り高い宝だ」
「!…そうだったんですね。
私を産んでくださって、ありがとうございました。」
「吾輩があの事件の後、人間界に潜伏することを親父に懇願した時
すんなり許可してくれた訳も、ようやく理解したよ。」
ラァードルの言葉に、ますます涙が溢れるリリエル
「そうだな。ありがとな。ラァードル。」
リリエルの髪を撫でながら、静かに応じるイザマーレ
「…お父上の為なら、プエブロドラドへの往来許可くらい
お任せくださいませ♪」
しばらくして急に元気になるリリエルに
その場にいた全員が笑顔になった
ただ1魔、この後、プライベートルームの扉が長期間消えることを
察し、懸命にスケジュール調整を脳内で繰り広げている
炎の悪魔を除いて…
(…1週間かな……?まあいい、それ以上なら割り込んでやるからな(笑))
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