top of page

漠然とした不安


人間界に居ながらも、見守り続けていたウエスターレンは

イザマーレの異変にいち早く気が付いていた。

最高魔軍を引き連れて、多くの人間を覚醒させただけでなく

より多くの人間とコラボレーションを重ね、

表向きには順風満帆に見えていたが、多岐に渡りすぎている…

自分が専属護衛していたならば、決して許さなかったであろうことまで…


そこはかとなく感じる不安。


意を決して密かに魔界に戻り、ダンケルに直談判をして

王室専属警備の職務に復帰したウエスターレン


そのわずか数日後


最高魔軍の慰労会と称して、文化局でお茶会が始まろうとしていた。

ダンケル始め、全ての構成員、関係者が集まっていた。

珍しく魔界の空も晴天。お茶会日和だった。

しかしウエスターレンとイザマーレは近寄る事もなく他の構成員と話していた。


その時だった…1名の悪魔が雄叫びを上げて暴れ始めた。

周りが止めに入ろうとしたとたん、すり抜けて

おびただしい魔力を溜め始め、誰も近くに寄ることは出来ない。


「…!あいつは!反逆者のレイム!何故ここにいる!?」




 

セルダは拷問した者の中で、一番口を割らない悪魔だったのを覚えていた


ダンケルは静かに立ち上がり、目の前に魔力を出した途端

レイムは魔力をイザマーレに向け放ち叫んだ

「副大魔王閣下!イザマーレの命もらったぞ!」

イザマーレは避けきれず腕に魔力が貫かれた


「…イザマーレ…」

ウエスターレンはイザマーレがレイムの魔力で貫かれたのを立ち尽くして見ていた。

またイザマーレを守る事が出来なかった…怒りが身体の奥から沸き上がる…


「な…何しやがる…」


ウエスターレンは理性をなくしかけていた。

ダンケルはその場から離れ様子を伺うように座ってウエスターレンを見つめていた


「貴様…俺のイザマーレに何しやがる!」

ウエスターレンの周りから炎が荒れ狂うように出現し、邪眼が開かれた。


「やっと開いたな。ウエスターレンの邪眼は本当に綺麗で好き。惚れ惚れするな~!」

ダンケルは嬉しそうに言った。

ウエスターレンは反逆者のレイムを邪眼で炎に焼き灰と化した。


……

その後、定期的に催されるお茶会のたびに、

同様の襲撃事件が多発するようになる。

実はそのすべてを仕組んだのはイザマーレだった。

襲撃者に呪いをかけ、自分自身を攻撃させ続ける。

だが、一時的に邪眼を開放させるものの、

完全にウエスターレンの魔力を回復させる結果にはならなかった。

まるでウエスターレン自身が邪眼を閉ざし、拒んでいるかのように……



閲覧数:2回0件のコメント

最新記事

すべて表示

事件当日

…… 大魔王陛下から、久しぶりにお茶会を開こうと誘われたのは数日前。 今日がその日なのだが、まだ少し時間がある。 どうしたものかと思案していると 「あ、……クリス様…」 吾輩の髪に腰掛けている女、リリエルが呟いた あの時吾輩の手に落ちて、一度は瀕死の重傷を負ったが、...

ここに、永久に

久々の晴天... そろそろ人間界では春を迎える季節になっていた。 イザマーレから未だに呼び出しが掛かって来ない… リリエルは寂しさを感じていた。 イザマーレの髪に座るには彼の力も必要だった。 リリエルは寂しさを紛らわすために休まず接客業をしていた。...

陰謀

イザマーレはリリエルが姿を現した途端に抱きしめた。 「!…どうなされたのですか?…閣下」 いつもと違うイザマーレに動揺が隠せない 「…このままで居てくれ」 結構長い時間抱きしめ、やっとイザマーレは離れた 「リリエル…確認したいことがある…コイツ知ってるか?」...

Comentários


bottom of page