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狂おしき愛


数日後、リリエルを人間界に戻し、イザマーレはダイヤを迎えに行く。だが

「お前はリリエルの護衛をしてこい」

言霊で、人間界に放り出されるダイヤ。


「おかえりなさい、リリエル様。」

「ダイヤ様、何度も言うけど人間界にいる間は畏まらないで。お疲れでしょ?

ただ普通に私の傍にいてくれれば良いのだからね」

「…はい」

護衛しているはずが、本当の友達のように接するリリエルに、

少しだけ笑顔になるダイヤ。


リリエルは微笑んで、ダイヤを抱きしめる


「閣下は、本当にダイヤ様が可愛らしくて仕方ないのね」

「!何言ってるんですか!そんなわけないですよ」

「そんなわけあるの♪ ダイヤ様の事を、閣下は本当に大切に思ってらっしゃる。

なぜ閣下がダイヤ様をお救いしたのか。それは、ダイヤ様も私だったから」


「…え?」


「元々は、一人だったのよ、私とダイヤ様。

私の魂を浄化させるために、2つの結晶にするしかなくて……」


リリエルはもう一度、ダイヤを強く抱きしめる。

「だから、ダイヤ様が今まで辛い思いをなさったのも、

全て私のせいです。ごめんなさいね」


「リリエル様……!」


「だから、ダイヤ様の事も、私と同じように庇護してくださってるのよ。

ダイヤというお名前を貴女に授けたのも閣下なんだから。

諦めかけていた貴女まで、お救いになって見つけてくれた

閣下って本当に素敵ね」


「……」



 

「私から閣下に、ダイヤ様に優しくしてあげてとお願いしても良いのですが、

おねだりの愛ではご不満のようだから、逆にして差し上げたのよ」


「!」


「愛して欲しいなら、駆け引きも必要よ。頭を使わないと。

この次は貴女から、素直な気持ちをお伝えすればいいわ。」


「!そんな事したら、ますます嫌われるんじゃ…」


「ふふふ。私を誰だと思う?閣下の事なら何でも知り尽くしてる

リリエル様よ。私を信じて。ね?」


「…はい」



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