ダンケルへの謁見を済ませ、仮設の王室を出たところで、
破壊された王室の復旧作業のため
現場を指揮していたベルデに会う。
「和尚!」
「やあ、リリエルちゃん。その後はどう?
魔力のコントロールが難しいようなら、いつでも相談してね」
「閣下から聞きました。儀式と施術については
和尚がサポートしてくださったと。ありがとうございます。」
ベルデとのやり取りを、見つめていたイザマーレとウエスターレン。
「良かったじゃないか、ベルデ。リリエルはお前のことなど
ちっとも怒ってなんかないようだぞ?」
冗談交じりに笑いかけるウエスターレン。
「…先日も思ったんだけど、リリエルちゃんて凄いよね
無責任だった僕に対して、謝るきっかけすら
与えてくれないんだから…」
リリエルの一連の動きに感心したベルデが呟く
「なんだよ、今更分かったのか?ベルデ。
イザマーレの暴走を抑え込むのに
重要な役割を果たしているのは
リリエルのああいう性格なんだぞ」
自分の事のように誇らしげに語るウエスターレン。
「…イザマーレ、ひとつだけ教えてくれるかな。
先日は、聞きそびれちゃったから…
もしかして、あの時、僕の所に来てくれたのって
本当は、一番大事な何かを伝えてくれようとしたんじゃ…?」
「……」
「…そうなんだね。だとしたら…本当にごめん。
全ては、僕の責任だ。出来る限りの事はさせてもらうから…」
「…ベルデ。ありがとな。リリエルの事では世話になった。
その他の事は、よろしく頼むな……」
「!……」
ただ静かに微笑み、佇むイザマーレに
例えようもないくらい厳かなオーラを感じるベルデ
(…いつもこうなんだから。全く…)
珍しく本音を心に吐露したベルデに、
ウエスターレンがポンっと背中を叩いて目配せする
「ほら、サボってないで仕事しやがれ。現場監督さん♪」
「王室のことなら、僕に任せて。それとね
この機会についでに、前から構想していた『プエブロドラド』も
着手することになったみたい…」
「!そうか。楽しみだな♪」
そんなやり取りをして、俺たちは魔宮殿を後にした。
屋敷に戻った後の我々の生活は、順風満帆だった。
吾輩の公設秘書として、副大魔王の執務の大半を
リリエルが代行してくれるようになり
昼間はウエスターレンとの時間を重ね、
そして夜はリリエルとのめくるめく日々…
それはもちろん、「今」も続行中なのだが…
危惧していたことは、ダイヤの苦痛となって露呈する
…あのな、いい加減にしろよな(怒)
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