top of page

百合と薔薇


人間界…

久々に降りて来た。風景も少し変わったか…

ダイヤは花の美術館の前に降り立った。

何故かイザマーレに花の美術館に来いと呼ばれたのだ。

ダンケルも知っているらしく『行ってこい』と許可がすんなり出た。

しかし、何故イザマーレに呼ばれたのか…検討すら出来なかった。


花の美術館に入ると誰も居なかった。

…どうやら時を止めているらしい。ダイヤの靴の音しか聞こえない…


ダイヤは色とりどりの花を見ながら歩いた。

真紅の薔薇が展示されている場所に入ると

イザマーレとリリエルが待っていた


「…お待たせ致しました。」

ダイヤは会釈した。


「ダイヤ様!」

リリエルがダイヤに抱きつく。ダイヤも嬉しく応える。

イザマーレは2魔を見守っていた


「やっぱり、ダイヤ様が居ないと寂しいの…」


「…リリエル様…有難うございます。嬉しいお言葉…」

ダイヤもニコニコして答えたが…


「閣下!ダイヤ様がいないと寂しいので、

愛契約し直してください~!お願い♪」

上目遣いでイザマーレを見ている。


「…え?…はぃぃ????」

ダイヤは焦った…



 

リリエルのおねだりに弱いイザマーレだ。

最後の最後まで厳しく『解放する』とまで言い放った悪魔が…

まさかな…ダイヤはひきつりながら一歩づつ後ろへ離れていく…


「リリエルのおねだりなら、仕方ないな」

イザマーレもリリエルを見つめていた。

「じゃ、私は長官と、例の場所で待ってますから~!

それではダイヤ様」

「ああ、すぐ行くから待ってろ」


閣下に飛ばされて消えるリリエル…ダイヤは唖然と見送っていた


リリエルが姿を消しイザマーレとダイヤの2魔になった。

予想外の展開だったがダイヤは俯く事もなくイザマーレを見ていた。


「…リリエルの希望だ。お前も戻って来たいだろ?」

見つめて優しく言った


「…閣下…本気で言ってます?」

ダイヤは微笑みもせず冷徹に言った


「お前の本当の気持ちはどうなのだ?

すっかり陛下の色に染められたみたいだが…本心を聞きたいのだ。

瞳の色も首の紋章も全て消して元に戻してやる」


イザマーレの言葉にダイヤは微笑み…

「それで…愛契約ですか?」

ふと含み笑いをしていた


「愛契約は致しません」

イザマーレの目を見て言ったが、突然ダイヤを抱き寄せた


「お前は心と裏腹に言葉にするからな…」

「……」

ダイヤは黙ってイザマーレを見ていた。

イザマーレは微笑みゆっくりと口唇を重ねようとしたが…




 

「お待ちください。閣下」

ダイヤはイザマーレの口にそっと手を添えた


「先程も申し上げましたが

例えリリエル様のおねだりと言えども、

閣下は愛契約などする気もないはず。

私は既に陛下しか見ておりませんよ?」

ニコニコしてダイヤは言った。


「……」

イザマーレは目を反らした


「…まったく…陛下は…(怒)ご迷惑おかけしました。

リリエル様まで駆り出されて…」

ダイヤは申し訳なさそうな顔をした


「…この5年でお前も成長したな」


イザマーレの言葉にダイヤは何となく寂しそうな顔をしたが、

すぐに笑顔になった


「有難うございます…閣下、リリエル様がお待ちですよ?

向かわなくって宜しいのですか?」

ダイヤは心配そうに言った


「要らぬ心配をするのは昔のままだな。

この事を陛下に御伝達しなければならないのでな。

お前も来い。陛下がお待ちだ」


イザマーレはダイヤと一緒に魔界に戻った




 

魔宮殿…

ダンケルは王室の窓側に立って外を見つめていた。

ダイヤの事が心配だった。イザマーレに心を奪われていたら即抹殺。

息していないダイヤが戻って来たら、と……

大魔王らしかぬ気持ちになっていた。



イザマーレの気配にダンケルは振り返った。

「ご苦労であったな。イザマーレ」


「任務完了いたしました」

イザマーレは頭を下げた。


しかしダイヤはイラッとした顔をしていた。


「…ダイヤよくぞ戻ってきたな…」

嬉しそうなダンケルだが…


「陛下…一体どういう事か説明して(怒)」

ダイヤのイライラした声に、イザマーレは含み笑いをしていた


「…ったく!閣下までに無茶振りさせて(怒)いい加減になさいませ!

私は陛下しか見てないし、永遠に貴方様についていくって

散々言ってるでしょうが!」

ダイヤはムッとして言った


「陛下、余計な心配だったようですな。それでは吾輩はこれにて…」

笑いを堪えながらイザマーレは消えていった


「…陛下…今日は私が陛下にお仕置きしないとならないみたいですね…」

ダイヤはニコニコして言った


ダンケルはふと笑みをこぼした

「…時にはいいかもな…お前にお仕置きされるのも…」

ダンケルはダイヤを抱き上げ、プライベートルームに消え扉を消した




閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

光と結晶

リリエルから呼ばれたダイヤはイザマーレの屋敷に来ていた。 「リリエル様~!来ましたよ!」 イザマーレの横に居るリリエルに抱きついた ダンケルを心から愛するようになったダイヤ。 イザマーレが横に居ようが全く気にもせず それ以上にリリエルと仲が良くなっていた...

女子花盛り

プエブロドラドのレストランで、久しぶりの女子会を開いたLily‘s。 「ダイヤちゃん、久しぶりだね。 プエブロドラドでもあんまり見かけなかったし心配してたよ~」 「バナトラさん、心配かけました! ちょっと…いろいろあったんで(笑)」...

絆の宝物

濃密な時間を何度か繰り返し、リリエルは眠りについていた 昼間、寂しそうにしていたウエスターレンが気がかりで イザマーレは一度扉を開け、探しに行った だが、寝室にも情報局部屋にも彼の姿は見えなかった 「……」 まだ構成員の奴らと一緒なのかと、リリエルの元へ戻ると、...

Comments


bottom of page