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花におまかせ


ダンケルと一緒に過ごすようになり半年になった。

その頃になるとダイヤの心もやっと落ち着き、

少しだけ庭など宮殿の周りを散歩するようになっていた。


使用魔とも仲良くなり、時には話ながら

庭の手入れなども手伝いもさせて貰っていた。

初めは使用魔らも止めに入っていたが、

何度も来ては話をし、手伝わせてとお願いし…

ダンケルからも気にせずに手伝わせてやれと伝達され、

一緒になって作業するようになっていた


「ダイヤ様…陛下の元に…閣下のお妃様が来ています…」

ダンケルの側近が駆けつけて言った。


「……」

「陛下より『リリエルが会いたがっている。どうするか決め連絡せよ』

とのご伝言が…」


作業している手が止まった。

「……。」

「行ってきたら?話してスッキリするのも良いんじゃないかしら?」

仲良くしてくれるダイヤより年上の使用魔が言った

「……う~ん…」

ダイヤは迷った


「陛下の嫁になったんだから、怖いものなんかないでしょ?

自信持ちなさいよ!」

ニコニコして言って肩に手を置いた

「…陛下…リリエル様が苦手だからな…」

「陛下は苦手でも、女同志で話して決まり付けちゃいなさいよ。

大丈夫よ!話終わったら聞くからさ」

「…決まり付けないとな…」



 

この半年間、イザマーレとも一切会っていない。

忠誠契約で首筋に刻印された紋章も、ダンケルによって消された。

今、ダイヤと繋がりが有る構成員はベルデだけだった。

ベルデも一切イザマーレの話はしてこない。

イザマーレはどう思ってるのかリリエルにも話が聞きたい…


「…分かりました…陛下に今行きますと伝えてください…」

ダイヤは立ち上がって向かった


作業服から普段着に着替えリリエルの居る部屋に行った。

扉をノックするのにも躊躇したが勇気を出してノックし扉を開けた



「…お待たせしました…」


「ダイヤ様、お久しぶりです!」


リリエルの嬉しそうな声が聞こえた

自分から裏切ってイザマーレから離れたのに…

本来なら会える立場ではない…それなのに…


「……リリエル様…お久しぶりです…

この度は忠誠を裏切り…申し訳ありませんでした…」

ダイヤは頭を下げた。


「お顔をあげてください。裏切ったなど思うわけないでしょ?」


ダイヤは顔を上げたが、何も言えず黙っていた


「…元気そうで良かった。心配してました」

「…有難うございます。ご心配おかけしました…」


数分沈黙があった


「閣下は…お元気ですか?私が聞くのも心苦しいのですが…」



 

ダイヤから話を切り出した


「お元気ですよ。閣下は相変わらず激務にお忙しくて

お身体を壊してしまうのではないかと心配になるほどです。

お仕事の息抜きに、貴女との時間はちょうど良かったのですが…

そんな事は、ダイヤ様には何も関係のない事ですものね」


「……」

胸が締め付けられそうだった。


「それでも、私はいつでも

ダイヤ様が戻って来ることを願ってます。

あの方のお言葉を聞かないで、

本当に後悔しませんか?閣下とお話されたら?」


「私の行為はリリエル様と閣下を裏切ったと同じ

…どの面して話せと…?

それに陛下に知られたら叱られてしまうし…

閣下だって会いたくないでしょうに…」


「なぁんだ、そんなこと?陛下は私に任せて!

閣下をお連れします。その時にお話してくださいね!」


「リリエル様!これ以上ご迷惑かけられません!」


立ち上がり部屋の外に出ようとしてるリリエルに、

ダイヤは焦って言った



「ダイヤ様。そんな事は迷惑でも裏切りでもないの。

とるに足らないこと。お約束します。待っててくださいね」


リリエルは微笑みながら、部屋から出て行ってしまった…

ダイヤだけ広い部屋に残っていた…


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