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花のおねだり


数日後、イザマーレはリリエルを髪に乗せ、王室を訪れた


「な、なに?今度はベルデが休暇申請だと?!」


「…はあ(汗)先日は我々の留守の間、魔界の事を頼みましたから

今度は彼にも休みを取らせてあげたらいかがでしょうか」


「くだらんな!!そんな我儘は捨ておけ!」

イザマーレの言葉に、ダンケルは冷酷に言い放つ。


その時、髪から降りてダンケルに近づくリリエル


「陛下~旅の最中のダイヤ様とのラブラブなシーン、

ビデオや写真がたくさんあるみたいですよぉ♪」


「!なに?!それは是非観たいぞ♪」

リリエルの言葉に前のめりになるダンケル。


「和尚に頼めば、ダビングしてくれるはずですよ」

にっこり微笑むリリエルを見て、

ダンケルは即決する

「イザマーレ!直ちに、ベルデの休暇申請許可する!

その前に、王室にベルデを呼びたまえ♪」


ダンケルの言葉を受けて、イザマーレは頭を下げる

「畏まりました。直ちに…」

すぐさま、目玉蝙蝠を飛ばす。


「ところで、陛下。」


「…ん?なんだ、イザマーレ」

イザマーレの呼びかけに、不思議そうに見つめるダンケル



 

「…え~…その…」

言い淀むイザマーレ


珍しい事もあるものだと

興味深く見つめているダンケルだったが


「へ・い・か♪♪」

にっこり微笑んだままのリリエルに、冷や汗を垂らす


(……なんか、すっげー嫌な予感なんですけど!!!)




 

「陛下。愛するダイヤ様のドレス姿、ご覧になりたいですよね?」


「…は?」


思いも寄らないリリエルの言葉に、目を点にして固まるダンケル


「人間界では、愛し合う者同士が夫婦になる時、

誓いの儀式を行うのです。

花嫁は純白のウェディングドレスを身に纏い……

公の場で、愛を誓い合い、誓いのキスをするのです。」


「……それを、私にやれと……?」


「陛下、申し訳ありません。リリエルは人間界での生活が長く

ここが魔界だという事を忘れてるようです。

…ただ、大魔王の妃を迎える婚姻の儀式であれば

宮中晩餐会や舞踏会と同じですから、特段、問題はないかと。」

イザマーレもダンケルに助言する


「…うむ。そうか……

イザマーレの時も、祝賀パレードを行ったしな。

良いだろう。人間界でたまに耳にした”王子様”とやらに

なればいいんだろう?」

案外、乗り気で承諾するダンケル


リリエルはとっても嬉しそうに微笑んだ。

「(≧∇≦)キャー!さすが陛下♪素敵です!!」



「……なるほどな……」


これまで、手放しでリリエルに褒められた経験など皆無だったダンケル。


はじめての『リリエルのおねだり』に

癖になるイザマーレの気持ちが分かった気がした


そんなダンケルの様子に、苦笑するイザマーレであった



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