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花の美術館


花の美術館…海沿いにある大きな美術館…

春には色々な花が咲き誇る…


イザマーレはリリエルを髪に乗せ、人間界へ来ていた


「ダイヤを見付けたのか?」

ダンケルはイザマーレの横に姿を表した


「えぇ、あそこに」

イザマーレは台本を向けてダイヤ達の場所を示した


「…?イザマーレなんだ?その台本は?」

ダンケルが不思議そうに聞いた


「いえ、あいつにお灸をすえてやっただけですから」

イザマーレは微笑んですぐに魔力で燃やし消し去った


「閣下ったら…」


クスクスと微笑むリリエルに、

イザマーレも笑顔で見つめ返した



 

ダイヤと裕子は中に入り、

色々な花を観ながら話をしていた。


「薔薇って棘が有るけど、

綺麗だから好きなんだよね~匂いも好きだし!」

裕子は匂いを嗅いで楽しんでいた


「……」

ダイヤは薔薇を見つめて黙っていた


「なっちゃん?どうした?」

裕子は顔を上げた


「…私の住んでいる魔宮殿の庭も

薔薇でいっぱい咲いてる…

部屋も薔薇の匂いだし…陛下の好きな花だから…」


ダイヤは涙を溜めていた


「…やっぱり旦那さんの事が好きなんじゃん!」

裕子はダイヤの肩をパシッと叩いて笑った


「…黙って出て来ちゃった…怒ってるんだろうな…」

しょんぼりして薔薇を見つめている


「…もうやってしまった事は元には戻れない。

あんたが正直に謝って許して貰うことだよ」

裕子は微笑んだ。




 

そんな2人の様子を

遠くでイザムの姿になり見守っていたダンケル


ダンケルは今直ぐにでも

ダイヤを抱きしめたい気持ちになっていたが

何とか堪えて愛おしそうに見つめていた








 

ダイヤたちは百合の花が咲き誇る場所に来ていた

大きく咲き誇る百合…ダイヤはずっと見つめていた


「…あの…」

ダイヤと裕子は振り返った

若い女性2人がダイヤを見つめていた


「…はい?…」

ダイヤは答えたが…どこかで会った様な気がしていた


「ダイヤさん…ですよね?」


「…え?…は、はい…そうですが…

何故私の名をご存知なのかしら…?」

ダイヤが言うと若い女性は涙を浮かべた


「やっぱり…私はリリエルの娘です!リリと言います!

こっちは妹のリナです!お逢いしたかった…」

ポロポロ涙を流してリリはダイヤを見つめていた


「!!リリエル様の娘さん!?」

ダイヤは驚いた…

まさかここで会うとは思ってなかった…


ダイヤはリリたちを見つめ返した

「ママから話はよく聞いてました…大切なお仲魔様だと…」


「…なっちゃん…3人で話して来なよ。

レストランもあるんだからさ…

私も席は別で飲み物飲んでるからさ!」

裕子はニコニコして言った




 

ダイヤとリリたちは色々話した。

ダイヤ自身が悪魔であること…

魔界の事を話してもリリとリナは…

「ママから聞いてる」と言い、驚くこともなかった。


「ママが亡くなって…この世界には居ないけれど…

元気に魔界で暮らしてるんでしょうか…」

リリは心配そうに訊ねた


「お母様は閣下の妃として

元気に過ごしていらっしゃいますよ。」

ダイヤは微笑んで言った。


それからはリリとリナはリリエルの事を色々聞いていた。

ダイヤも答えられる範囲は色々伝えた。

2人は話を聞いてホッとしたようだった

話を終えて、レストランの会計までリリが支払ってくれた。

ダイヤはさすがに焦っておごるからと言ったのだが…

リリは首を横に降り


「ダイヤさんに会えてママの話しも聞けたから…

また話を聞かせてくださいね!」

そう微笑んで裕子の分まで支払ってくれた。


レストランの外にでた4人…リナはふと言った

「ダイヤさん、ママは近くにいるんですか?

ママの声が聞こえました…ママの事…大好きだからね!」

涙を浮かべて大きめな声で聞こえるように言った…


近くで見守っていたリリエルは、娘達の成長を喜んでいた…



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