top of page

行列の出来る保健室


教室の扉を開けると…


生徒は居ても3、4名のみでガランとしている。


やっとこの状況も慣れたので、今では何とも思わないが…


居るのはいつものメンバー。

バナトラとメーラ、シルバ、セリーヌ


その時はメンバーと最高魔軍の活動絵巻を見ながら語り合う

清く正しい道徳の時間となるのだが…


珍しくクラスの全員が揃っている時もある…。

しかし出欠を取り出した途端


「ダイヤ先生~体調が悪いので保健室行って良いですかぁ?」


またある生徒は…

「すみませ~ん!お腹痛いので保健室へ行ってきま~す!!」

「先生~!!……」

等々続出する。


1時間目が始まる頃にはいつものメンバーとなる…


「…体調悪いのに何故来るかな?保健室行くより

帰った方がましなんじゃないの?」

ダイヤがため息混じりに呟く…。


「あれ?やだぁ!!サーちゃん知らないの?」

呟きを聞いたバナトラが驚いて言った


「今日はイザム先生が保健室に居るから皆行くんだよ?

行ってみようよ!」


「え??そうなの??って!!ち、ちょっと!!」


ダイヤが言ってるそばから

いつものメンバーに腕を引かれ保健室へと行った。


保健室は満員御礼状態…廊下は生徒だらけ…

職員の一部女子さえもワクワクして並んでいる。


「あぁ今日も一杯だわ…」

セリーヌは残念そうに呟く


「…なに?これ…毎回そうなの?」


現場を見て唖然とする…。しかし並んでいる列はどんどん流れ

教室に戻る生徒や帰る生徒……


不思議に思って保健室の近くの壁側でダイヤは様子を見ていた。




 

バナトラ達も並んでいたが

保健室の目の前で誰かと話し渋々帰る…。


ダイヤだけが保健室の近くに居たのだが…


最後の生徒が保健室の前で諦め渋々帰った。


「…やっと終わったか…あ?新米ちゃんもか?」


保健室の前で陣取り、長い足を組み

牛乳瓶の底の様なメガネに大きめなマスク…

髪はチリチリおばちゃんパーマ…の悪魔が座っている


「…え??誰!?何故私の魔名を知ってるの!?学園の方???」

驚いているダイヤを見て嬉しそうに笑っている

「しょうがねぇなぁ…入れ」

一瞬で保健室へ瞬間移動させられた。


「ウエスターレン、ご苦労だったな」


白衣を着たイザマーレが微笑み、

その横で助手を務める校長のリリエルが

イザマーレに髪を撫でられている。


「ダイヤ先生!どこか具合が悪いのですか?」

リリエルが心配そうに聞いてくる


「い…いや…体調は悪くないのですが…えぇ?校長が助手???

で…まさか変装されてるのがウエスターレン様??何??」


驚いて3魔を見ているダイヤ…


そこでやっと牛乳瓶メガネを外し、おばちゃんパーマに変装した

ウエスターレンがニヤニヤ笑っている。


イザマーレたちの警護が主な仕事の守衛だが

生徒達にバレないように変装をしていると聞かされた。


ダイヤが辺りを見ていると保健室のベッドは

個別の部屋になっていて扉が消えている…。


「…状況の意味が分からん…」



 

唖然とするダイヤに、

リリエルから扉を消してる理由など話を聞かされる

真面目なダイヤは益々ドン引きをしていた。


消した扉から生徒同士が出てくる…

女子生徒の肌はピチピチに艶が良く…

イザマーレにお礼を述べて保健室から出ていく…


選ばれし者だけが使える部屋らしい事を知ったダイヤは

固まっていた…



後日、ダイヤはダンケルに頼まれた書類を作成し、

理事長室へ提出しに行った


ダンケルが書類に目を通す。その答えを待つダイヤ。


待ってる時、いつ見ても美形で惚れ惚れしてしまう。

学園に来た頃から、ダンケルに想いを寄せるようになっていた。


(理事長って…素敵だな…魔界を総括してこの学園も創設されて…

悪魔としてめちゃ好き…でも私のような小悪魔など

到底相手にされないのは分かっている。憧れだけにしなければ…

お近くで話が出来る事こそ有り難いと思わないと。

このお方のお側で少しでも働ければ…。

この方のお側にいつまでも居たい…)


毎回、心から思ってダンケルを見ていた


「ダイヤ、ご苦労だったな。完璧だ」

ニコッと微笑まれ、ダイヤは真っ赤になって頭を下げた

「良かった…お褒めいただき有難うございます。嬉しいです。では…」

部屋を後にした。心を読まれてるとも知らずに…


このまま教室に行っても多分生徒は居ない…体育の時間が有るからだ。

水の悪魔、バサラの授業は大人気…。誰一魔とも休む悪魔は居ない

いつも教室にいるメンバーも、今日は居ないな…と思いつつ、教室に向かう。

角を曲がった所でダイヤは立ち止まった…




 

「リリエル…今日も寝かせんぞ…」

イザマーレがリリエルを壁に押し付けて迫っていた

「イザマーレ様…この場では…」

リリエルが恥ずかしそうに俯いている



「…愛してるぞ、リリエル…」

リリエルの顎に手を添え口唇を重ねていた…

「…う…ん……イザマーレ様…」

舌を絡ませてとろけそうな顔をしているリリエル…






 

あまりにも衝撃過ぎる場面に驚き、ダイヤはその場を離れた。


どこへ行く宛もなく…。

気持ちを落ち着かせたかった。


「どうしたのだ?ダイヤ」

いきなり腕を掴まれ驚いて振り返った

「…理事長…」

衝撃の場面を見た後に、いきなり現れる…

ダンケルを見つめ顔を真っ赤にしてしまった。


「…あの…」


腕を掴まれただけでも恥ずかしさで話が出来ない…

オロオロしているとダンケルは微笑んだ


「あぁ…アイツらならいつもの事だ。気にするな…」

心を読み取られたらしい。


「…そうなんですか…何だか衝撃が多すぎて…

は、初めてだったので…あんな場面に出会すとは…」

照れ笑いしながら言った。


「…真面目すぎるのも良くないな…

自分の気持ちさえも押さえ込むなど…」


「…え???」


ダンケルに抱きしめられ固まっていた。




 

「り、理事長??…あの…」


胸の鼓動が聞こえてしまいそうなほど高鳴る。

思わず俯いてしまった


「ずっとお前を見ていた。休みすら返上して

仕事に励んでいるのも知っている…

そんなお前を見ているうちに惹かれてしまってな…

全てを奪いたくなった…」


ダイヤは驚いて顔を上げた途端に口唇を重ねられていた。





 

身体の力が抜けそうになるのを懸命に堪えていたが…

ふと身体が浮いたと思った時には、ダンケルが住む魔宮殿の

プライベートルームのベットに瞬間移動をしていた


「…あ…の…ダンケル様…」

真っ赤になるダイヤに微笑み…口唇を重ねる

服を脱がせながら舌を絡ませ、お互いに唾液を味わい

身体中に赤い印を付けていく

恥ずかしさと嬉しさで涙声で啼き始めていた


「愛してるぞ…ダイヤ…私の為にもっと啼け…」


耳元で囁かれ、蜜の溢れた入り口を味わい尽くされ、指を差し込まれ

何度も愛され果て続ける。息も整えることも許されず…

更に深く愛され、気が失う寸前まで繰り返し、ダンケルに抱かれる


時間など気にすることもなく…

プライベートルームの扉は当分消されたままだった


儀式も終えてダイヤはダンケルの魔宮殿で生活を始めたのだが…


新米の立場の事もあり…真面目なダイヤ…


学園の中では上司と部下として素知らぬ顔をして仕事に付いていた…。


イザマーレとウエスターレン、リリエルには

直ぐにバレていたが、3魔の配慮もあり、

ダンケルがダイヤを嫁にした事を職員が知ったのは

数ヶ月後であった…






閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

恋のはじまり

「あの新米、ダンケルに染まったようだな(笑)」 ここは保健室 今は体育の授業が行われているため ほとんどの生徒はそちらで行列を作っている おかげで静かになった保健室で 副理事長のイザムと、守衛のウエスターレンが噂話をしていた 2魔にお茶を淹れながら、...

呼び名を決めよう

静かな部屋に、艶かしい舌使いの音が響く 綺麗な翡翠のネイルを施された指先が 薄ピンク色の口唇をゆっくりとなぞる 黒い口唇をそのまま重ね合わせる 口づけはすぐに深くなり、舌を入れて 思う存分味わい尽くす… ここは副理事長室 先程始業式を終え、...

休日出勤

職員室。 PCを立ち上げ、担当するクラスの情報を確認していると ダイヤの耳に入ってくる職員同士の会話… 『校長と副理事長は、ほぼ毎日の様に扉消してるんだって!!』 『呆れるほどラブラブだよな!まったく…』 クスクス笑ってる職員の悪魔… 「……はぁ……」...

Comments


bottom of page