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触れない花


まだ魔界が霧に包まれ

朝焼けがうっすらと見える頃にイザマーレは帰宅した


「お帰りなさいませ、閣下♪」


まさかリリエルが起きているとは思っていなかった…

ダイヤの元へ行った事はリリエルには伝えてはいない。

どう説明するか…イザマーレは一瞬目が泳いだ


「? お疲れですか?ダイヤ様を救ってくださったのですよね?」

ニコニコしてリリエルは言った


「!」


(…流石、リリエル…すべてお見通しって訳か…)


なら話は早い。


イザマーレはリリエルに話そうとしたが…


「今日はお疲れでしょうから、私を気にせず

お休み下さい。私は自分の部屋におりますから」

リリエルはふと寂しそうに微笑んで、部屋に入っていった


「……」


イザマーレはその場で立ち尽くしていた


(帰って来ても抱きついてこない…

挙げ句に1魔で…休めと…焼きもちなのか?

それとも吾輩が何も言わずにダイヤの元へ行ったからか?

お前がいないと休む気になれんぞ!!)


イザマーレはため息をついて肩を落とし

自分のプライベートルームへ向かうしかなかった…






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