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賛美の調べ


大きな木の下から、コテージのベッドルームに瞬間移動し

何度も肌を重ね合わせ、営みを続けていた


やがてまどろみ、イザマーレの腕の中で眠りにつくリリエル


幾度も熱に浮かされ、どんなに淫らに身体を震わせても

あどけなさを残す寝顔。何度見ても飽きない。


しばらくの間、見とれていたイザマーレ

その時ふっと、気がついた 


小粋な音が聞こえる…


ベッドルームからリビングを挟んだ向かいの小部屋で

ウエスターレンが静かにギターを奏でていた


懐かしい『湖』を……


誰よりも愛する悪魔の奏でる音に惹かれ

小部屋に訪れたイザマーレに気がつき、静かに微笑みながら

ある曲の前奏を奏で始める


静かに微笑んで、じっと見つめていたイザマーレも

ウエスターレンのギターに合わせ、歌い始める…


森の木立がその声に酔いしれる

湖の水面が、より美しく輝きを放つ


やがて空から光が降り注ぐ。木々に反射し、屈折した影が

構造物を映し出す


……魔界への階段……


魔界への扉がゆっくりと開かれた


2魔の紡ぎ出す音の素晴らしさに目を覚まし、

聞き惚れていたリリエルは

そっと小部屋の前へ近づいた


最後のフレーズを震わせ、歌を止めて微笑むイザマーレ

「懐かしいな、ウエスターレン…」




 

ウエスターレンもギターを置き、

イザマーレを抱きしめ髪を撫でる

見つめ合い、瞳に映るお互いの姿を確かめ合う


「アイツらとも、またいつか一緒に来たいな。」

「そうだな…でも今は、俺の為だけに歌ってくれ、イザマーレ…」

「…レン…」


イザマーレの黒い口唇に、ウエスターレンの赤い口唇が重なる


サラサラな金髪をなびかせ、

ウエスターレンの首に腕を回すイザマーレ


すべてをウエスターレンに委ね、

熱い愛撫を受けながら啼き始めるイザマーレ


「…いい声だ…もっと聴かせろ…」


ウエスターレンは囁き、イザマーレの肌に舌を這わせる

堪らず漏れるイザマーレの吐息に、愛しさがこみ上げる


もう一度見つめ合い、口づけを交わし合っていた


その時…

部屋の入り口で、なんとか姿を隠しているリリエルに気がついた


2魔の紡ぎ出す演奏に惹かれ、小部屋に近づいたのだが

そのまま始まってしまった2魔の情事に焦りつつ

それでも、強い絆で結ばれたイザマーレとウエスターレンの営みは

目が離せないほどの美しさだった


(…リリエル、構わない。おいで…)


(!////////)


イザマーレからのテレパシーに、顔を赤くするリリエル


(どうした?リリエル…欲望に素直になれ。出来るよな…?)


(////////っ)


甘い誘惑に、リリエルの心が疼く。

そして、入口から顔を覗かせた




 

「…閣下…長官……あ、あの……////////」

真っ赤な顔で、俯くリリエル


「どうした?こうなりたいのか?」


イザマーレは魔力でリリエルを百合の花に変身させた


「リリなら、堂々と眺めていられるだろ?」

天真爛漫な笑みを浮かべるイザマーレ


「!////////」

驚くリリ


「イザマーレ…いいのか?王子じゃない姿を姫君に晒しても?」

ニヤッと笑いながら問いかけるウエスターレン


「ふっ、何を今更。とっくの昔から

吾輩の情けない姿ばかり、見られていたんだぞ?なあ、リリ…」


イザマーレは、さらさらの綺麗な金髪姿で

堂々と可愛らしい笑顔を見せる


「そういや、そうだよな♪仕方ない。

イザマーレの可愛い姿は、俺様だけの至極の宝だけどな。

姫君の御所望とあれば、喜んで提供しよう。

おいで、イザマーレ…」


甘く口づけを交わし、

そのまま愛し合うイザマーレとウエスターレン


(////////……♪)


はじめは照れていたが、だんだん嬉しくなりご機嫌になるリリ

ほのかにピンクに色づき、可憐に咲き誇る百合の花


夢中で愛欲に溺れながら、

時折、リリを眺めて微笑むイザマーレ

そんなイザマーレが愛おしく、

何度も求め続けるウエスターレン


(…素敵です…イザマーレ様、ウエスターレン様…♪)


かつてのように、嬉しそうに眺め続けるリリ




 

ウエスターレンの愛で、魔力が封じられたイザマーレ。

開かれていた魔界の扉は、いつの間にか消滅していた


彼らの蜜月の旅はまだ、終わりそうにない…


Fin.





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