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輝く花の陰で


魔界全体はお祭り騒ぎだった


リリエルが悪魔になり

副大魔王の妃になったと、王都中大騒ぎだった。

前夜祭で花火まで上がって魔界中祝福ムードだった。


「…」


魔宮殿の最上階の部屋で

複雑な気持ちで膝を抱え

夜空に打ち上がる花火を見つめているダイヤ


ダンケルはダイヤの居る部屋に姿を現した。

灯りも付けず、バルコニーの椅子に座り俯いているダイヤ。

花火の光で姿が映しだされる。

ダンケルも複雑な思いで見つめていた


「…ダイヤ?」


ダンケルの声に振り向く顔は笑顔だった…

「陛下!花火綺麗ですよ♪一緒に見ませんか?」




 

…微笑んでいるがお前の心は泣いているのだな…


「…明日なのだが…」

ダンケルが話始めると

ダイヤは再び花火を見つめていた


「…リリエル様、無事に悪魔になられて

閣下のお妃に…明日ご挨拶に来られるのですね…」


少し間が空いたが再びダンケルを見つめ

「明日は良い晴天となると良いですね!

おめでたい時こそいい天気じゃないとね…」

ダイヤは笑顔を見せて言ったが

瞳の中は寂しさを隠せていなかった




 

翌日


ダイヤはずっと最上階の部屋に籠ったまま

出て来ようとはしなかった。


窓を開ければ、悪魔達の歓声が魔宮殿まで聞こえて来る。

ダイヤは窓辺に立って馬車が来るのを見つめていた。

馬車の左右には王都周辺に住んでる悪魔達が

手を振り歓声を上げている。


馬車が魔宮殿の前に止まった。


先にイザマーレが出てくると歓声も更に大きくなった。

続いてイザマーレがエスコートをして手を差しのべ

リリエルを馬車から降ろす


純白のドレスを着たリリエルの姿に

ひと際大きな歓声があがる。



『副大魔王閣下万歳!!』

『お妃様~!!おめでとうございます!』



その声に応え、イザマーレとリリエルは手を振っている


2魔の背後にピッタリと付き従い

護衛に当たるウエスターレン。

時折、何か声を掛け合い、微笑み合う


3魔が醸し出す雰囲気に、悪魔たちは皆、酔いしれる




 

「………リリエル様…幸せそう…」

ダイヤは呟き、イザマーレ達を見ていた。


もうあの2魔の前には行けない…

私から離れたのだから…


それに…最近気が付いた…

時々身体が悲鳴を上げ少し痛みが走る…

いつかこのまま魔界の時空に耐えられず、命を落とすかもしれない。

これもまた運命なのか…


やっぱり私は孤独だな…

イザマーレにも今までの行為で見捨てられ…

リリエルの前にも行けない。


これもすべて自分で撒いた種…


リリエル様…もう…会うことすら出来ない…

今まで有難う…いつまでもお幸せに…


閣下の事…愛していた。

リリエル様が羨ましく、嫉妬でどうする事も出来なかった…

閣下…色々ご迷惑をかけてごめんなさい…

リリエル様のウエディングドレス素敵ですね…


リリエル様も嬉しそう…いつまでもお幸せに…


ダイヤは涙を浮かべ、2魔を見つめていた…




 

ダンケルがイザマーレとリリエルを迎えた


「この度、リリエルを

正式に妃に迎えることになりましたので

ご報告させて頂きます」

イザマーレとリリエルは頭を下げた


「イザマーレ…そしてリリエル…

この度はおめでとう。末長く幸せにな…」

ダンケルは微笑んで言った。


リリエルは辺りを見回した

…謁見するには、あまりにも見立てが掘っ建て小屋みたいだ…


「…ここ…どうしちゃったんですか?」


リリエルの言った言葉に唖然とするダンケル。


そこへウエスターレンが姿を現した

「ふっ……悪ふざけが過ぎて、誰かさんの逆鱗に触れたかな?」

ニヤニヤしてダンケルに言った。


リリエルは何の事だか理解出来ずに首を傾げてイザマーレを見た


「その節はすみませんでした(笑)すぐ戻しましょうか?」

イザマーレも苦笑いしながら聞いた



「いや、良い。せっかくだから、一から作り直すのでな(笑)」

ダンケルも笑って答えた


謁見も終わり、3魔は魔宮殿を後にした。


ダンケルは見送りつつダイヤの事が気掛かりで仕方がなかった…。

ダイヤの様子を透視するが俯いたままベッドに座っている…

テーブルには朝に用意した食事が手付かずのままだった



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