「…私は、閣下に愛される資格などないほど、穢れた女。
お許しください!貞淑を守りきれなかった愚かな私を……」
「やめろ!お前は穢れてなどない!」
震えが止まらないリリエルを、イザマーレは強く抱きしめる。
「気休めではない。お前の中に穢れなどない。
お前に辛い思いをさせない為に、お前の魂を浄化させたのは吾輩だ。
取り除いた穢れの代わりに、吾輩の愛をお前の魂に与えてある」
「!」
「お前を悪魔として生き返らせることが
できなかった事が悔やまれるが、構わない。
いざとなれば、吾輩が人間になればいいだけだからな。
たとえ、お前が吾輩を忘れても構わなかった。
お前に悲しみを背負わせるくらいなら。
吾輩だけが覚えていれば、それで良かったのだ」
「!!!…今の私があるのは、全て閣下のおかげなのですね。」
「そうだな。おかげで吾輩は、未だに愛というものが分からない。
お前に預けっぱなしだからな。」
「っ………」
「だが、お前を思う気持ちが愛だというなら信じる。
お前の中にあるのは、正しく吾輩の愛に他ならないからな」
「…閣下……」
口唇を重ね合わせようとした……その時
「リリエル様!…ダイヤです……
今すぐどうしても、お話したいことが………」
「! ダイヤ様?
良かった、戻ってきてくださったのね、今行きます………」
扉を開けて、出ていくリリエル…
ダンケルに向けて言い放ったリリエルの言葉に
衝撃を受け、自らの行動を許せなく思うダイヤの前に現れたウエスターレン
「いつまで甘ったれてるんだ。
お前の願いどおり、今からイザマーレがリリエルに全てを伝える
それがどういうことか、全てを見届けろ」
有無を言わさず、ダイヤを連れ、屋敷に戻る
扉の中では、イザマーレがリリエルに夢を見せていた
ゼウスに凌辱されるリリエル、そして残酷な処刑のシーン……
かつての怒りがこみ上げ、拳を握り締め耐えるウエスターレン
恐怖のあまり跳び起きたリリエルを抱きしめるイザマーレ
そして、自分の過去の恐怖より、イザマーレを気遣うリリエル
この2名を引き裂くような者は、誰であろうと許さない
その夢を邪眼で映し出し、ダイヤに見せつける
「長官!私は何てことを…リリエル様を悲しませて…
とにかく謝りに行かせてください!!」
「話をするのは、まだ無理だ。
あいつらの時間を邪魔するな。
リリエルにすまないと思う気持ちがあるなら
我慢しろ!」
忠告するウエスターレンの言葉に耳を貸さず、
リリエルに呼びかけるダイヤ
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