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閣下、我慢


イザマーレに抱き上げられ、運び込まれたリリエルを

すぐに受け入れて診断するベルデ


「…大丈夫そうだね。

元々、リリエルちゃんは欠かさず保護しているけど

今回は、君たちが留守中だったから、

いつも以上に強い結界で覆っていたからね。

攻撃は全て弾き飛ばしたみたい。

外傷もないし、心配いらないと思うよ。」


穏やかに診たてを話しながら、チラッとイザマーレを見るベルデ


「ただ…弾き飛ばすだけでも、かなりの衝撃だったはずだからね

ちょっと重たい脳震とうを起こしたんだと思う…

まあ、君がいれば、何の問題もないよね?

僕も、魔界に残る結界の亀裂を確認したいから…任せていいかな?」


「…分かった。ベルデ、ありがとな。結界の調査を進めてくれ」

無表情を装い、淡々と応じるイザマーレ


思わず笑いそうになるのを堪えて、診察室を後にするベルデ



 

誰も居ない診察室に、寝ているリリエルとイザマーレの2魔っきり♪


頑張ったリリエルを途轍もなく愛したくなった。

まさか…あいつらが来るとは思いもよらず…


ゆっくりと服を脱がし、一糸纏わぬ姿のリリエルの髪を優しく整える

全速力で走り切ったリリエルの身体は、やや汗ばんでいる

イザマーレは蒸しタオルを用意して、丁寧に拭き取っていく


あどけない表情で眠るリリエルの口唇に指を這わせ

ゆっくり顔を近づけていく…


その時、診察室に向かってくる大きな足音に気づき

慌ててリリエルに布団を掛け、

奴らに気づかれないよう魔力で服を着せた…



 

その時、リリエルの寝ている部屋に押し掛けたのはLily‘s。


最初に扉を開けたダイヤは

イザマーレのやらかしそうな様子をバッチリ見てしまっていた。


直ぐに布団を掛けて指を鳴らすイザマーレ。

服を着させたようだ…


「閣下ぁ❗️💢💢💢💢」

ダイヤはムカッとして言ったがイザマーレは素知らぬ顔をする。

他のメンバーは何の事か分からずに部屋に入っていく


「ほ、ほら…汗かいて風邪引かれても困るんでな…」

「そうよね〜!さすが閣下!」

メーラがデーモンに同意する。

「そ、そうだろ?分かってないな。ダイヤは…」

イザマーレの苦し紛れな言い分に、

しらっとして目を座らせているダイヤ。


「リリエルちゃんは大丈夫なの?」

バナトラが心配そうにリリエルを覗き込む


「ま、まぁ、大丈夫だ‥目覚めれば、元のリリエルだ」

イザマーレも何気に焦りを見せながら、淡々と応える




 

「そう…とにかく、リリエルちゃんを目覚めさせれば良いのね?」

バナトラはすでにナースモードに切り替えている


「どうすれば良いのかな?私たちも力になりたい…!!

だって、リリエルちゃん、私たちを守ってくれたんだよ?

今度は私たちがリリエルちゃんを助ける番だよ!!!」

メーラが言い、全員で考え始めた


その時、ある事をひらめいたスプネリア

「…歌…」


「ん?どした?スプネリアちゃん」

スプネリアの呟きを聞き逃さなかったプルーニャが、声をかける


「そうだ…!!こんな時こそ、あれじゃない?!

長官が仰ってた事…」


……

『お前たちに、リリエルの役に立ちたいという思いがあるなら、

この歌が1番だと思うぞ』

……


「…そうか!!それなら急遽、合唱隊を集めて、とにかく歌おう!」

思いついた途端、それぞれの役割分担を決めて動き始めるLily‘s



「…あ、そう…💦」


彼女たちの勢いにやや気圧され気味のイザマーレだが、

仕方なく承諾する


「それなら、少し時間かかるだろう。

診察室を長い間、占領するわけにもいかないからな、

とりあえず、屋敷には連れて帰るぞ」


なんとか体裁を整え、

リリエルを抱き上げて立ち去るイザマーレ



 

一度、Lily‘sと別れて魔宮殿に戻ったダイヤは

昼間の天使襲撃事件をダンケルに報告し

自分も合唱隊に参加したいと願い出る


リリエルが天使を跳ね飛ばした時に生じた波動の強さを

すでに把握していたダンケル


「もちろんだ。ダイヤ、お前の好きにしろ。

で?とりあえず、リリエルは今まだ昏睡状態なんだな?

お前、これから屋敷に向かうんだろ?

イザマーレとウエスターレンに、これを持って行ってくれ。」


「…?了解しました……」

ダンケルの反応を不思議に思い、書類に目を通すダイヤ


「副大魔王妃の不測の事態のため、

副大魔王イザマーレの無期限公休を許可する 

リリエルの目覚めまで、屋敷の中で過ごし給え。

これは、大魔王の厳命である。必ず死守するように!! 

From.DANKEL」





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