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闇のたくらみ


あれからルイがダイヤの前に姿を見せることはなくなった。

ルイの事は、ダンケルにあえて伝えなかったダイヤ。

リリエルのおかげで無事に解決したのだと、安心しきっていた。

そして時間が経つにつれ、すっかり忘れ去っていた…


その日、ダイヤはイザマーレの屋敷でリリエルたちに相談事をしていた。


宮中晩餐会に来た人間界の友人、裕子についてだった。

魔界の虜になってしまった裕子が

このまま魔界に居たいと言い始めたのだ



 

ダイヤは、自分が過去に苦しんだ時空の経験を裕子に伝え、

どうにか説得しようとしていた…

だが裕子と話を聞いていくと

どうやらベルデに惚れてしまったようなのだ。


『なっちゃんから陛下に言って欲しい。

何でもするから住まわせて下さいって…』


裕子が珍しく頭を下げてダイヤに言った


『…ゆうちゃん…生身の人間を魔界に住まわせるのには

陛下がOKするだけじゃ駄目なんだって…

閣下やリリエル様にだって関わる事なんだから…

それに…人間界と違っていつ命を狙われるか分からない世界だよ?

ゆうちゃんをそんな場所に居させる訳には…』

ダイヤが困り果てながら言うと…


『なっちゃん、一度でいい。陛下と閣下に話をさせてください。

陛下にも閣下にも、駄目だと言われたら諦めるから。

チャンスを下さい。』

裕子が本気な目でダイヤに訴えている。


ダイヤは迷っていたが…

『…今、直ぐには返事は出来ない。

閣下にも相談しなければならないから数ヵ月待って。必ず連絡するから』

ダイヤの言葉に、裕子はやっと納得してくれたのだ…



その経緯をすべてイザマーレに伝えた。


「まず先に我々の信者にならないとな。言ったのか?裕子に?」

イザマーレはとりあえず確認する


「散々、大反対もしたし、言いましたって。

生身の人間が来る所じゃない事も。

私が過去に時空で苦しんだ事も、洗いざらい話したけど

納得してくれなかったんです。

何やら晩餐会の時、Lily‘sの皆と話をしたらしく…

友達になりたいとまで言ってるんです…」




 

ダイヤも、ため息をついた


「Lily‘sについてはリリエルに任せているからな。

別に、プエブロドラドに入らなくても、リリエルが気に入れば

仲魔に入れてやればいいだろう。リリエル、どう思う?」

リリエルを見つめ、問いかけるイザマーレ


これまでの話を聞いていたリリエルは…


「ダイヤ様の使用人としてお迎えしてはいかが?

和尚も人間界と繋がりが有れば、色々と欲しい物が手に入ると思うし、

裕子さんを人間界に戻す事も可能だから…

時空の問題はクリア出来ると思うの…閣下どうかしら?」


リリエルが言うとイザマーレは嬉しそうに

「なるほどな♪それなら問題はないだろう。さすがだな!リリエル」

髪を撫でて微笑んだ。


ダイヤはホッとした…


「…閣下とリリエル様が了承してくれたから…後は陛下だな…

閣下も魔宮殿に来てもらって良いですか?

私が話せば必ず閣下を呼べって事になりそうだし…」

ダイヤが言うと…


「閣下、ダイヤ様と一緒に魔宮殿に行かれては?裕子さんのお話ですし。」

リリエルが微笑んでイザマーレに言った


「…リリエルも一緒に行くか?」

イザマーレはリリエルに聞く


「…お部屋の掃除もありますし、お留守番してますよ♪」


(それに何やら、魔宮殿の波動が気になります。恐らく…)


(そのようだな。やれやれ。では行ってくるぞ、リリエル)


(は~い。大人しくいい子で待ってますね♪♪)




 

ダイヤには気づかれないよう、テレパシーで会話をしていた2魔


ダイヤはリリエルの言葉に…

「リリエル様と閣下、本当にいつもラブラブだなぁ…私も混ぜて!」


「駄目だ!リリエルは渡さん!」

本気で言うイザマーレに、ダイヤはニヤニヤしていた。


魔宮殿に向かったイザマーレとダイヤ

再び裕子の話をしながらダンケルの居る王室へと向かった。


途中、宮殿の使用魔がドタバタと走り回っていた。

いつもと違う様子に戸惑いながら、

イザマーレと一緒に王室に入ったダイヤ


「陛下~!戻りまし…って…!!!!はぁぁ?(怒)何で!!」

ダイヤは怒鳴って言った。


イザマーレは冷静に含み笑いをしながらダンケルを見ている。


一方ダイヤはワナワナと怒りで震えていた。


あり得ない光景がダイヤの目の前で起こっていた。

ダンケルの膝にルイが座り、ダンケルの首に腕を絡め

嬉しそうに見つめていたのだ。


「…き…貴様ぁ!!!!」

ダイヤが怒鳴りブチキレた途端、

地響きと王室の窓ガラスが割れて飛び散り

壁にヒビが入った。空間が歪みはじめている


「イザマーレ!ダイヤをそこから一歩も動かすな!

奴が変な行動したら刺しても構わん!」

ダンケルは金の剣をイザマーレに投げ、受け取らせた




 

「陛下(怒)何言ってるの!(怒)どういうつもり?」

更に地面までヒビが入りはじめている。


イザマーレは剣をダイヤに向けながら冷静に観察していた。


(…いつの間にか魔力も上達して発揮するようになったか…。

リリエルとはまた違った魔力だな…)


「ダイヤ!動くな!これは大魔王の厳命だ!良いな!」

瞳を赤くしダンケルは冷徹にダイヤを睨みつける。

益々怒りでダイヤの波動が強くなり、背後にオーラがダダ漏れだった。



ルイはそんなダイヤを見てバカにしたように嘲笑っている…





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