朝(?)の衝撃をなんとか乗り越え、コテージ周辺を散策する。
青く生い茂る森に囲まれ、遠くには南アルプスの山脈が見える
リリエルとイザマーレは手を繋ぎ、ゆっくりと歩いていた
澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、心の洗濯をする
樹齢何年にもなりそうな、大きな木の幹に寄りかかり、
肩を寄せ合う
「気持ちがいいな。人間界でも、
自然の力が大きく宿る場所は、吾輩も好きだぞ。」
木々を見上げ、穏やかに語るイザマーレ
「素敵な場所ですね。閣下、本当にありがとうございます。」
リリエルは微笑み、イザマーレの腕に抱きつく
「…どうしても払拭できないほどの孤独に苛まれた時、
吾輩は、こういう景色を思い浮かべるようにしている。
己の悩みなど、とても小さなものに思えるからな。」
「…!」
静かに語り出したイザマーレを見つめるリリエル
「リリエルの事は、吾輩が必ず守ってやる。
だが、吾輩もすべてが完璧なわけではない。
お前とウエスターレンに支えられて、
ようやく立てる。そんな程度だ。
お互いに足りないものを補っていければ、それで良い。
…本当の夫婦とは、そういうものだろ?」
率直な思いを伝え、笑顔になるイザマーレは、
大悪魔でも、副大魔王でもなく、彼本来の顔になっていた
「どうした?かっこいい王子じゃなくて幻滅か?
今さらだろ、誰よりも一番近くで
吾輩と一緒に居た、誰かさん♪」
「…イザマーレ様…大好き…」
思わず、かつての呼び方で抱きつくリリエル
「吾輩も、リリエルが好きだ。お前が思うより、ずっとな…」
お互いに見つめ合う。そして、口唇を重ねる…
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